魔導物理学校の休校日、本好きな魔法使いの少女アピスはリトアをつれてフリューゲルの街にある図書館へと足を運ぶ事にしました。もちろん本を借りるためですが彼女には「もう一つ目的」があるようです
『やあ、アピス!また会えて嬉しいよ』
高街に住む9歳のエルマ・ムルシベルは温厚な性格の少年で、身分は違ってもアピスにとっては数少ない友達で理解者でもあります。フリューゲルでは「貴族の子供」と「庶民の子供」は一緒にいてはならないと戒律で決められていますが、
二人はこうして大人たちの目を盗んでたまに会ったりしているのでした。
『リトア…あのね、私はエルマくんと二人でお話したいから
向こうで待っててくれるかしら?』
アピスにそう言われたリトアは『うん、わかった!アピスがそう望むなら!』と素直にたたっと走っていきました
その姿を微笑ましく思ったのかエルマ君は優しい笑みを浮かべます
『慕われてるんだね。ずいぶんと…
アピスは面倒見がいいしきっと立派なお姉さんになれるよ』
エルマはその穏やかな口調でアピスを褒めますが、彼女は『そうでもないわ』とやや落ち込んだようにうつむきました
『リトアったら…私のメガネを隠したり、私が魔法薬を煮込んでる時に鍋のなかに火薬草を入れて爆発させたり、
私の靴にゲジゲジ入れたりするのよ!それに今朝なんて……』
寝ぼけたリトアに「食べ物」と間違われたアピスちゃん
『リトアにかじられたせいで、せっかく編みこんだ髪がヨダレだらけでくしゃくしゃになっちゃった
小さい子の世話するのって結構大変……』
むせび泣くアピスちゃんをエルマ君は元気づけようとします
幼いリトアと女子寮で一緒に暮らすようになってからというもの、彼の純粋無垢ゆえの行動やイタズラに振り回される事が増えたり、うっかり正体がばれそうになったりと、アピスちゃんは何かと苦労しっぱなしのようです。
『でもさ、リトアといるのは楽しいし…
知れば知る程謎だらけで興味深い存在なんだけどね♪』
さっきまで悲しそうにシクシク泣いていたアピスちゃんですが、すぐ立ち直ってリトアと過ごした日々や「彼について分かった事」をテンション高めな口調で目を輝かせながら嬉しそうに語りはじめます
アピスが疲れているのではと考えていたエルマ君は安心し、久々に会えた彼女と心行くまでお喋りを楽しんだのでした。
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