サニアと竜族の女王「ルティア」


サニアちゃんの過去かこ

怪しい集団に襲われていた「アピス」という女の子を助けたサニアたちは、彼女が相当疲れた様子なのを見て
ひとまずテントの中で休ませる事にしました

『日が暮れてきやがった…
こりゃ今日はここで野宿した方がいいな』

野宿が大好きなサニアちゃんはそれを聞いて『やったぁ!キャンプ~♪』と大喜びです

しかし、問題が一つありました
大人一人と子供三人が寝泊りするには今のテントは小さすぎるのです

『仕方ねぇな…俺様はチビガキと外で寝てやんぜ!
その代わりヘッポコ見習い!おめぇはテントの中であのチンチクリン小娘の面倒を見てやれよ!』

ヘッポコと言われてミヤビちゃんはムッとしたのか『いーい、サニア?もしこの人に変な事されそうになったらすぐにあたしを呼んでいいから!』と言い、スニーカーを脱いで裸足になってテントの中に入っていきました

『なッ…俺様を変質者扱いするんじゃねぇ~!』

二人が何を言ってるのか全然意味が分からなくてサニアちゃんは『??』と首をかしげます
その晩、彼女はライと一緒に外で寝る事になりました。

寝ぼけて自分の寝袋から抜け出し、ライの顔にキックをかますサニアちゃん

『ガオ~ッ!』
『ぐふ…このガキ、どんな寝相してやがる!』

サニアちゃんはどうやら夢の中でバトルしているらしく、小っちゃな足でぺたぺた蹴ってきます。しかも一日中元気に駆け回って汗をかいたせいかその足は何とも香ばしい匂いを放っていてライは悶え死ぬところでした

『う~ぅ…これぐらい…
ぜんっぜん、大したコトないし…!』

当の彼女はぽつぽつと「寝言」を言い、うなされているのか苦しそうな表情を浮かべていました

サニアちゃんは火山に住んでいた頃の夢を見ており、
その夢の中でかつて自分が味わった”苦しい特訓の毎日”を再び体験していたのでした…。

『よーし!今日の訓練はここまで!!
明日はもっと厳しいからな!!』

鬼教官カジャに徹底的にしごかれ、サニアは体中ボロボロになりながら『けほっ!けほっ!!』と苦しそうに血を吐きました。激痛で動けなくて地面にへばった状態の彼女は恨めしそうな目でカジャを見ています

『そうだ恨め!恨みを強さに変えろ!!
これも全てお嬢が立派な女王になるための試練だ!!』

10時間におよぶ激しい特訓で虫の息になったサニアをカジャは容赦なく怒鳴りつけました

女王の血を引く特別なドラゴンの子供であるサニアは普通の子供のように遊ぶ事が許されず、物心ついた頃から「英才教育」と称して来る日も来る日も大人の戦士と特訓の日々を強いられてきました。その厳しさは大人でも音を上げる程で、弱音を吐いたり失敗すれば彼女にはいつも拷問のような罰が待っていました…

それでも女王譲りの高い再生力と、特訓は辛くても自分の力がどんどん強くなるのを実感していたおかげで、
サニアはそんな日々に何とか耐える事ができたのでした

『うぅ~、やっと終わったぁ~』

吐血する程の苦しい特訓が終わってサニアは安堵します

しかし、ほっとしたのも束の間…疲労困憊になった彼女の前に竜族を統べる女王「ルティア」がやってきて、
“更なる試練”を与えてきたのでした。

『!!!
うぅ~っ…さいあくなユメみた…!』

つらかった特訓の日々を夢の中で疑似体験させられ
サニアちゃんはかなりうなされていたのか、目が覚めると体中滝のように汗をかいていました

『たまにユメにみちゃうんだよね
オババさま、カジャ…みんなどうしてるかな。お姉ちゃんも…元気にしてるかな』

サニアは故郷の家族やクオンにいる姉ソニアのことを思い出します

火山にいた頃は毎日厳しくて大変だったとはいえ、それでもみんな”大切な家族”で、同時にそれぞれが圧倒的な強さを誇る竜族最強の戦士達であり、幼い彼女にとっては憧れの存在でした

『アルフ…』

大好きなみんなの顔を思い出してサニアちゃんは眠れなくなり、靴を取ってそれを足に履いてタタッと丘の端まで走っていきました。ずっと遠くに森と海…そして星空のようにキラキラした都会の明かりが見えました

『わあぁ…キレイ~!』

サニアちゃんはその美しい景色にすっかり見とれ、芝生の上にポフッと座りながらぼんやりと眺めました。そんな時、彼女の姿がないのを心配してミヤビちゃんがやってきました

『もしかして眠れないの?』
『うん。みんなのコト思い出しちゃってさ…!』

ミヤビちゃんに『みんな?』ときかれ、サニアちゃんは自分の過去を彼女に打ち明けました。女王の後継者として厳しく、大切に育てられた事や、姉や祖母とたまにカードゲームして遊んで楽しかった事…
そして、アルフという名前の砂族の親友がいた事…

サニアちゃんはポケットから「光る何か」を取り出して得意げに見せてくれました
それは炎のように紅い宝石でした

『キレイでしょ~♪にっちょーせきっていうんだよ!
アルフとさいしょに出会ったときに手に入れた、サニアの一番のたからものっ♪』

サニアちゃんがアルフの事を嬉しそうに話しているのを見て、ミヤビちゃんは『とってもステキな男の子なんだね!』と言いました。すると彼女は『うん…』と言い、悲しそうにうつむいてしまいます

『でも、お別れしちゃったの…
お姉ちゃんやオババさまが砂族の子とは遊ぶなって…
サニアとアルフがまたいっしょに遊んでるところをみたら「こんどはアルフの命はないぞ」っていわれてさ』

「今のままでいい」

サニアの声と表情には微塵も迷いがありませんでした

最初はドラゴンである自分を嫌い、星母樹の力で人間にしてもらうために家を飛び出した彼女でしたが、
ライ、ミヤビ、ジョバンニ、女王ミツキ…色んな種族の色んな人達と出逢い、そして新しくできた仲間と一緒に過ごしている内に今の自分をだんだんと受け入れられるようになったのです

「種族が違っても友達になれる事」を自分の祖母にも伝えたいとサニアは言います

けれどもそれは…他種族全てを忌み嫌い、
絶対的な力で竜族を支配する女王ルティアといつか闘わなければならない日が来る事を意味していたのでした。

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