
結界魔法の特訓に疲れたミヤビちゃんは仲間たちが待つホテルに帰ろうとしましたが、
その途中でうっかり道に迷ってしまいました
『やーん!道わかんなくなっちゃったぁ~!
ここどごなのぉ~…!』
すっかり迷子になり、ミヤビちゃんは一人ぼっちで夜道をさ迷っているといつの間にやら公園のような場所に迷い込んでおりました。方向オンチなせいか歩けば歩くほど目的地から遠のいていくばかりで、足も痛くて、不安と心細さからミヤビちゃんは溢れんばかりの涙を目に浮かべて泣きじゃくっています…
そんな時、どこかから”懐かしい笛の音”が聴こえてきました
『このメロディ…ひょっとして!』ミヤビちゃんは音楽が聴こえる方に走っていくと、トンガリ帽子をかぶった魔法使いの少年が池のそばで笛を吹いているのを見つけました
『ジョバンニさん!!』
『あれ?ミヤビじゃん♪こんなトコでどうしたのさ?』
ジョバンニ君は笛を吹くのをやめ、陽気に笑いながら彼女の方へ歩いてきました
『あちゃ~!まーた迷子になったな?
相変わらずそそっかしいやつだなぁミヤビって!』
ミヤビちゃんの顔が涙と鼻水でくしゃくしゃなのをみてジョバンニ君は何があったかすぐ察したようです。彼は『もう大丈夫さ♪』と言って彼女を落ち着かせた後、せっかくなので二人っきりで散歩しないかと誘いました。
『だけどさ…クラウディア王女が地上を侵略しようとしてるって本当なの?ボクも一度会った事があるけど、優しくて、器が広くて、魔法使いじゃない人達の事もちゃんと考える立派な姫様だったよ。侵略なんて野蛮なコト
考えるような人じゃなかったのにさ?』
ミヤビちゃんは『きっと怒ってるんだと思う。魔法使い達と地上の人達がケンカしたせいでお母さんが死んだから…優しい人は傷付きやすいって、ミツキお姉ちゃんがよく言ってたよ』とクラウディアの気持ちを想像します
ジョバンニ君はそれでも腑に落ちない様子でした
『だってさ、考えてごらん?侵略って地上世界と共存しようとした母親の願いを踏みにじるってコトじゃない?お母さん想いの王女が何でそんなコトすんのさ?おかしくない?』
母親思いなはずの王女の”矛盾した目的”にジョバンニ君はどうしても違和感を感じずにはいられないようです
その時、バサバサと羽の音がして二人は空を見ました。
サニアちゃんに猛スピードで突進されて派手にすっ転ぶミヤビちゃん
『イタイーっ!ちゃくち失敗~…
もーっ!おそいからサニアさがしにきちゃったよー!』
ミヤビちゃんがなかなか帰らないのでサニアちゃんは心配になって探しにきてくれました。『心配かけてごめんね!』と謝ると彼女は笑顔になり、二人は「前もこんな事あったね」と笑い合いました
『相変わらず元気いっぱいだなぁキミは♪』
サニアちゃんはジョバンニ君に気付くと、思いっきり抱きついて再会を喜びました
『きいてきいて!サニアたちも旅はじめたの!
新しい友達もできて、クオンにいた時よりずーっと強くなったんだよ!』
ジョバンニ君はしゃがんで目線を合わせながらサニアちゃんの話を『フーン!よかったじゃん♪』と楽しそうに聞いてあげています。その姿はまるで兄妹みたいで、ミヤビちゃんはちょっぴり羨ましくなりました
『ミヤビからだいたいの話は聞いてるさ♪
魔法使いの里に向かうんだろ?あそこは大昔に空への移住を拒んだ一族や、地上が好きで空から引っ越してきた魔法使い達がたくさん暮らしている場所さ。彼らに事情を話せばきっと強い味方になってくれるはずさ♪』
ジョバンニ君の話によると空から移住してきた魔法使いの中には有力な大魔法使いや貴族もいるらしく、もし彼らを味方につける事ができればフリューゲルとの和平を結ぶための近道となるかもしれません
ミヤビちゃんはふと疑問に思い、『ジョバンニさんはどうしてそんなに詳しいの?』と聞いてみました
すると彼は陽気に笑いながらこう答えました
『あれ?言ってなかったっけ
魔法使いの里はボクの故郷(ふるさと)さっ♪』
『クソッタレ、何だあのカジノは…
タチの悪いオカマディーラーに絡まれてえらい目に遭ったぜ』
サニアたちがジョバンニと再会していた頃…
夜の街に出かけたライはギャンブルで負けて無一文になり、イライラしながら人気のない港を歩いておりました
『ウッ…急にションベンしたくなってきやがった
よし、久々にアレをやるか!』
唐突に小便がしたくなった彼は周囲に誰もいないのを確認し、立ったまま海に向かって用を足しました
『ふはーっ!これこそ男だけに許された特権だぜ』
その時…背後から突然『おい』と声がし、ライは反射的に後ろを振り返ります
そこにはパーカーを着た怪しい少年がおりました。
『馬鹿言ってんじゃねぇよ、立ちションするのに一体どこのどいつの許可がいるってんだ?
テメェこそ寝ぼけた事言ってんじゃねぇぞクソガキ!』
ライはシッシッと威嚇して少年を追い払おうとします
しかし少年は怖がる様子も無く、彼を軽蔑の目で睨んだままポケットから一枚の黒い葉っぱを取り出しました
『海を…キサマのションベンで汚すんじゃない!』
ライがその葉っぱに気を取られていると少年は一瞬のうちに彼の目の前に移動し、彼の鼻に葉っぱを押しつけて匂いを嗅がせました。その瞬間ライは猛烈な吐き気に襲われ、うめき声をあげながら地面に這いつくばって苦しみだしました
『おえぇ~っ…何だコリャ!最低の気分だぜ!!
てめぇ俺様に何を嗅がせやがった!?』
少年は何も答えず、ゆっくりと屈んで”どこぞのヒーロー番組”を連想させるポーズを取りました。ライはとんでもなく悪い予感がしてよろよろと立ち上がって次の行動を阻止しようとしますが、時すでに遅し…
『俺の名はクロレ…
キサマみたいな悪を倒すダークヒーローさッ!!』
クロレと名乗った少年は空高く跳躍し、ライの顔面に飛び蹴りをお見舞いして彼を海に突き落としました。
『ぶげはーーーっ!!』
ライが絶叫と共に暗い海に沈んでいくのを見ながらクロレは『クククッ』と不敵な笑みを浮かべていました。

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