キノコ
リップルさんの宿屋で知り合った先輩魔法使いのグリモワールさんから「地上の魔法薬」の作り方について教わったアピスちゃんは、薬の材料を集めに朝早くから山へフィールドワークに出かけました
『わぁ!凄い、こんな色のキノコはじめて見た!』
初めて出会う地上のキノコたちに好奇心をくすぐられ、山登りの疲れも忘れてキノコ狩りに夢中になるアピスちゃん
魔法薬づくりにキノコは欠かせない材料なので、空にいた時からキノコだらけのランプランツスの森へたびたび足を運んでいた彼女。そんな彼女からすればこの山も材料豊富な資源の宝庫に見えるようです。
『ふふふ、欲張ってたくさん採っちゃった
さ!早くキッチンへいって、これを使って魔法薬つくってみよう』
大量のキノコで満たされた籠を抱えながら、アピスは嬉しそうに宿屋まで走って帰っていきました
数時間後……
『うわぁっ!何事だ!?』
廊下の掃除をしていたジョバンニ君が突如キッチンの方で爆音を聞き、急いで駆けつけました
『あちちちっ!何だこれ!!』
キッチンのドアを開けた途端、物凄い熱気に襲われてヤケドしそうになるジョバンニ君
あわてて《氷の魔法》で消火していると、炎の中から真っ黒こげのアピスちゃんがフラフラと出てきました
『ううっ…調合失敗しちゃった』
どうやら彼女は、作っていた魔法薬を爆発させてしまったようです
『大した怪我がなくてよかった!でも危うく火事になっちゃう所だったねー
ボクがいうのも何だけどさ、あんま無茶したらダメだよ!』
『ごめんなさい…』と謝るアピスに
『まぁ、姉さんもたまにやるんだけどさ!』と陽気に話すジョバンニ君
彼いわく、グリモワールさんもしょっちゅう魔法薬で失敗する事があるそうです
その話を聞いたアピスは信じられないという顔をしました
『フーン!姉さんのことずいぶん買いかぶってんだ
あのさ、アピスが思うよりさ、姉さんってすっごいドジでおっちょこちょいなんだぜ!
丁度おなかもすいたし、一緒にランチ食べながらその話をしようか♪』
アピスの手作りサンドイッチを美味しそうに食べながら、姉と旅した話を聞かせるジョバンニ君。
彼といるのが楽しくて、アピスちゃんはずっと話に聞き入っていました
『(ジョバンニさんって素敵。優しいし、話が面白いし、それに《氷の魔法》って難しいのに杖無しで使えるし!
私もこんなお兄ちゃんがいれば良かったのになぁ…)』
アピスちゃんにすっかり懐かれたジョバンニ君。
ジョバンニ君の方も、女の子と食べる昼食はいつもより美味しかったと語っていました
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