魔法修行の旅を続けるグリモワールとジョバンニの姉弟は、
次の町へ向かう途中でゴツゴツした険しい山岳地帯を通っていました
『おーい!見てよ姉さーん、もうすぐ山道が終わるみたいだよ!急いで!
はやくしないと夜になっちゃうよ~!』
何日もずっと歩きっぱなしなのに疲れ知らずな弟ジョバンニは、陽気に走りながら後方でモタモタしている姉グリモをせかしますが、魔法薬を調合する「大鍋」が入った重たいリュックを担いでいる彼女はそろそろ体力も限界にきているようでした……
『ジョバンニ~!今日はここで野宿しましょうよ……』
ようやく山道を抜けて森へとさしかかった頃、辺りはすっかり暗くなり二人は野宿する事にしました
草地の上で「焚き火」をしながら姉弟は晩ご飯のシチューをいただきますが、姉グリモは疲れきっていて食事が喉を通らない様子…
『姉さん大丈夫かい…?
そのリュック、重たいなら明日からボクが運んであげるね♪』
姉の疲労っぷりを見たジョバンニはリュックに手をかけようとしますが「ペシッ!」と叩かれて痛がります
グリモは『冗談じゃありません!アナタがもし転んだりしたら、中の鍋が壊れるじゃありませんか!』と彼を冷たく突き放しました。
『ちぇっ…なんだい、せっかく心配してやったのにさ!じゃあ好きにすればいいさ!!』
姉の態度にムスッとしたジョバンニはスプーンと空っぽの皿を地面に置き、靴をぱぱっと脱いでさっさと寝てしまいます
眠りこける弟を見守りながら、大鍋で「魔法薬」を煮込む姉グリモワール
先程のきつい態度は弟ジョバンニを邪険にしていたのではなく、
いつも無茶ばかりして怪我する事が多い彼のために「薬は大事」と考えての行動だったのでした
–山道の途中–
これなら次の町もそう遠くないんじゃない?
あなたの好物の新鮮な魚料理が思う存分堪能できる事でしょうね
まずは旅の費用を稼がないといけませんからね
旅の費用が稼げる上に宿賃も浮いて非常に合理的です
ボクもたまには、フカフカなベッドで眠りたいよ!
あなた、右足が少し痛そうではありませんか?
ちょっとシューズを脱いで、足を見せてください
あなたはよく無駄に走り回るから、足に負担をかけすぎるんですよ!
寝る前にワタシの魔法薬をたっぷりと足の裏に塗ってあげますからね!
姉さんって相変わらず、ボクが怪我するとすぐ分かっちゃうんだね
もう野宿にはウンザリですからね!?
そうだ姉さん!宿屋についたら枕投げしようね♪
全く、ジョバンニはいつまでたっても子供なんですから
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