
引き裂かれた幼い想い
サニアちゃんが稽古に励んでいる間、アルフ君は畑仕事の手伝いで作物を届けに隣町へ出かけていました
『今日はいつもより多くてじかんかかっちゃった
さ!はやくかえってサニアと遊ぼう!』
砂漠をひとっ走りして籠一杯のサツマイモを届けたアルフ君は愛しのサニアちゃんがそろそろ遊びにくる頃だと思い、大急ぎで走って村へ帰りました。家の前についたアルフ君は、中から”聞き覚えのある可愛らしい声”がして嬉しくなりました
『サニアだ!誰と話してるのかな?』
どうやら家にもう一人「別の誰か」がいて、サニアちゃんはその誰かと言い争っているようです。アルフ君は何だか悪い予感がして、靴を脱ぐのも忘れてドタドタと家の中へ入っていきました
そこにはサニアと、赤黒いマントを着た背の高い女が立っていました
『アルフ!こっちきちゃダメッ!!』
『そうか、貴様がアルフか…
このソニアの妹を篭絡するとはいい度胸だ』
サニアの姉ソニアは鋭い視線でアルフを見下ろし、威圧的な口調で言いました
『(こいつがサニアが言ってた強くて怖いお姉さん…
きっとサニアをムリヤリつれて帰るためにきたんだ!)』
サニアちゃんの怯えた様子をみてアルフ君は「この姉は悪いやつ」だと確信し、彼女を守らなきゃと思いました
その考えを見透かしたソニアは『ほう、面白い…』とやや興味を示したようです
『お姉ちゃんやめて、アルフはわるくないの!ぜんぶサニアが…』
言い終わる前に蹴とばされて壁に激突し、サニアちゃんは痛そうに呻きます…
アルフ君は彼女に駆け寄り、その体を抱いて『大丈夫?』と心配そうに声をかけました
『何でこんなひどいコトするんだよ!!
サニアは妹なんでしょ!?』
サニアちゃんを傷つけられたアルフ君は、怒ってソニアを睨みつけました
『掟をやぶった罰よ。なに案ずる事は無い…
わが妹は特別…骨が折れようと、目が潰れようと、いかなる重症だろうと、数刻もかからず再生するのだ…これぞ竜の血が成せる業。小さき者よ、貴様にもそれを教えてやろうか。』
突如ソニアの周りで炎が吹き荒れ、二人は爆風で外に吹き飛ばされました
ただでさえ怪我をしていたサニアちゃんはさらにダメージを受け、アルフは傷付いた彼女を必死に守ろうとしました
『そいつを護りたいのだろう?
貴様にどれだけの覚悟があるか私が試してやろう』
ソニアは炎を意のままに操り、小さなアルフに対して容赦ない攻撃を続けました
『子よ…何故にそこまでする?貴様とわが妹に血のつながりなど無いだろう…
屈強な戦士でさえ私からは逃げ出すのに…死ぬのが怖くないのか?』
何度も炎に焼かれてボロボロになりながらもこの少年は決して逃げようとしないのを見て、
ソニアは攻撃するのをやめ、静かに問いかけました
『こわいさ…でも友達をなくす方がもっとこわいよ
おまえはサニアを傷つけたワルモノだ!そんなやつにサニアはわたさないぞ!』
そう言い切ったアルフの目は怯えながらも「サニアは自分が守る」という強い決心に満ちておりました
しかし、彼がこれ以上傷ついていくのをサニアちゃんは見ていられなくなり、二人の間に割って入ってきました
『もうやめて、お姉ちゃん
アルフを傷つけないで…サニアなんでもいうコトきくから!!』
妹の懇願をみて、ソニアは周囲の炎を全て消しました
『何でも…と?ではこの少年の事を今後忘れると誓うか?
二度と掟をやぶらぬと誓えるか?誓えるならコイツは生かしてやろう。無論、おまえは後でお仕置きだがな。』
サニアちゃんは弱々しい声で『うん…』と答えました
姉と火山へ帰ろうとする彼女をみてアルフ君は『待ってよ!』と追いかけようとしますが…
『ついてきちゃダメ!あなたは砂族だから…砂漠のみんなとくらしたほうが幸せなの!
サニアとはいっしょになれないの!!』
別れるのが嫌だというアルフ君にサニアちゃんはわざと冷たい言葉を浴びせて突き放しました
『元気でね…アルフ』
サニアちゃんはぽろぽろと涙を流し、消え入りそうな声でアルフ君に別れを告げて姉と飛んでいきました
アルフ君は大声で彼女を呼びながら走って追いかけますが、二人はすでに手の届かない遥か空の彼方へ行ってしまったのでした…
サニアちゃん(5)のコメント
おけいこのあと、アルフの家に遊びにいったらお姉ちゃんにみつかっちゃってさ…
サニアがお姉ちゃんにぶたれたのをみて…アルフが護ろうとして…戦ってくれて…、あんなふうに彼がキズつくのがサニアはすっごくイヤだったから、お姉ちゃんにたのんでこうげきをやめてもらったの…そのかわり、アルフとはもうにどと会えなくなっちゃった……
そのあとでね、オババさまにもいっぱいしかられたの…
また砂漠にいけば「アルフの命はないぞ」ってさ!!なんで?どうしてそんなに砂族がきらいなの!?アルフもじーじもサニアにやさしくしてくれたのに!
せっかく友達できたのに…!
お姉ちゃんもオババもだいっきらい!!

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