ランプランツスの森で「傷ついた幼子」を見つけたアピスは、その子を宿屋へつれていってじぶんで面倒を見る事にしました
『大丈夫…私がついてるからね』
幼子を撫でているとおなかがグゥ~と鳴り、悲しそうな表情を浮かべるアピスちゃん
思えばお城のパーティを抜け出したせいでごはんを食べそこなった彼女は、ずっと何も口にしておらず空腹で今にも倒れそうです。
『アピス、お腹すいてるだろ?紅茶とサンドイッチあるから食べなさい
子供は遠慮なんかしなくていいから……』
そんな彼女のもとへ魔法医の「ナスターシャ」が食べ物を運んできてくれました
『ありがとう…私、おなかペコペコだったの!』
心遣いに感謝し、サンドイッチを手に持って美味しそうにもぐもぐ頬張るアピスちゃん
ナスターシャさんはアピスに寮へ戻るよう言いますが、彼女はどうしても幼子のそばを離れたくないと拒みます
『ヤレヤレ…全くしょうがない子ね。学校には私が連絡しておくから
その代わりしっかりその子の面倒をみてやんなよ』
結局アピスを泊まらせる事にしたナスターシャさんは、彼女と幼子の二人を残して部屋を後にしました
…
………
『うー…ん…』
しばらくして幼子が目を覚ましました
『あ…よかった、気がついたのね!もう一生目が覚めないのかと思ったわ
あなた名前はなんていうの?どこからきたの?』
好奇心を抑えられないアピスは目覚めたばかりの幼子に質問しまくります
幼子は自らを「リトア」と名乗り、フリューゲルにはない「弓」という武器を大切そうに抱えておりました
『ごめん…何も思い出せないのさ
ぼくが何者で、どうやってここにきたのかも……』
リトアは雷を浴びたショックで記憶喪失になったらしく、自分の事をほとんど思い出せないようです
覚えているのは自分の名前と「地上からきた」という事だけでした……
ばっと立ち上がってリトアに憧れの眼差しを向けるアピスちゃん
いつか地上に行くのが夢な彼女はリトアが地上から来たと聞いて興味津々です。
『ねえ!よかったらさ、私の女子寮にこない!?』
記憶を失って途方に暮れるリトアにアピスは突然そう持ちかけます
まだ幼いとはいっても彼は男の子ですが、彼女は『大丈夫。あなたぐらい小さかったら誰も気にしないわ♪』と強引に話を進めます
『(あうう…何だか妙なコトになってしまった
でもどうしたらいいか分からないし、当分アピスと一緒に居た方がいいかも…)』
リトアは最初は戸惑いましたが、自分を助けてくれた心優しい魔法使いの女の子を信じてもいいと感じ、
彼女といっしょに「魔導物理学校」で生活する事にしたのでした
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