魔導物理学校に通う8歳の少女アピスは、廊下を歩いていると魔法生物の《ラウプティア》がすぐそばを飛んでいくのを見ました
『あの生き物たちは何も食べなくても魔法の力だけで生きられるみたい…
でも、その魔力はどこから採取するのかしら…?』
フリューゲルで暮らしている人々は誰もが「魔法生物は友である」と教えられており、
皆当然のように魔法生物たちを受け入れていましたが、アピスちゃんはそれらがどこか”歪で怖い存在”のように感じられました
聡明な彼女はよく物事を観察していて、今の魔法使いの国にウソと欺瞞が蔓延っている事に何となく気づいているものの、
その事を誰にも話せなくてずっと歯がゆい思いをしていました
『(なぜ誰も疑問に思わないのかしら?
地上の事もそうだしさ…みんな本当にこのままでいいのかなぁ…)』
白い革靴を履いた足でとぼとぼと教室に向かった彼女は、ちょこんと椅子に座り、静かに講義を受けました

『アピス~!やっぱりまだいた!!』
放課後、講義を終えたアピスちゃんは教室に残って自由研究していると騒がしいルームメイトの「ステファニー」がやってきました。『どうしたの?』ときくと、彼女は泥だらけで悪臭にまみれた大量の本を取り出しました
アピスちゃんはその強烈な臭さに思わず鼻を手で覆います

『アピスぅ~!わたし今大ピンチなの~~~!!
お願い…宿題やるの手伝ってぇ~!!』
その量を見てずっこけそうになるアピスちゃん
ステファニーは呪文学・魔法薬学・魔法生物学・ルーン文字の講義でそれぞれ大失敗し、その補修で山ほど宿題を出されたそうです。期日までに提出しなければ退学だと言われて、全部が得意なアピスに助けを求めてきたのでした
『でね!急いでたから転んでまとめてドブに落としちゃったの…本当にゴメンッ!!』
『もう~っ、しょうがないなぁ…』
他でもない親友の頼みなのでアピスちゃんは断る気になれず、猛烈な悪臭に耐えながら夜遅くまでステファニーの宿題を手伝った後、女子寮に帰った二人は仲良くシャワーを浴びてスッキリ身を清めたそうです
アピスちゃん(8)のコメント


それで私手伝ってあげたの。ステフは大切な親友だから助けたいけど、この調子で彼女この先大丈夫かしら?今回みたいにいつも手伝ってあげられるとは限らないしさ…何だかちょっと不安。

前は外でしか見かけなかったのに、最近はよく校舎の中にも入ってくるみたい!

それとも……
アピスちゃんかわいい