
講義が終わったアピスは一人で森の中へ足を運び、誰にも内緒で飛行魔法の特訓をはじめました
『もう少しで空を飛べるようになるはず…
絶対諦めないんだから!』
祖先の魔法使いが遺した文献を頼りに、アピスは自作した箒を用いて遠い昔に失われた「古代の飛行魔法」を試そうとしていました。しかし、箒を浮かせる事はできても実際に飛べるようになるにはまだまだ練習が必要なようです。
特訓に夢中になっている内に、気が付くと夜になっていました
『すっかり遅くなっちゃったわね…
校則違反にならないよう、そろそろ寮に帰らなきゃ。シャワーも浴びたいし!』
アピスちゃんは額の汗をぬぐい、来た道を歩いて自分の寮へと戻ろうとします。
その途中、彼女は夜空に一筋の白い光が飛んでいくのを見ました。
その光はまるで流れ星のように彼女の頭上を通り過ぎ、
やがて森の中へと墜ちていきました…
『何だろう?行ってみよう!』
光の正体が気になったアピスは再び森の中にいって、光が落ちた場所を走って探し回りました
走った末アピスは光が落ちた場所を発見します
そこは墜落の衝撃によって炎がチラチラと燃えており、草や木が焼ける匂いが立ち込めていました。
『きゃぁ!熱いっ…あちこち燃えてるわ』
炎が熱くてたじろぎながらも、アピスは落ち着いて周囲を観察して炎とは別の「何か」が光っているのに気付きました。
その「発光体」は白くてフワフワなウサギっぽい姿をしていました
『この子が、空から落ちたあの光の正体かしら?
見た事ない生き物だわ…』
アピスは好奇心のまま、その生き物に近づいて触ってみました
ふんわりした白い毛皮に包まれたその身体は、汗をかいていてほんのり熱を帯びていました。
『何だか具合が悪そう…
はやく先生にみせた方がいいかも…』
アピスはその生き物を抱え、魔導物理学校の医務室へ連れていく事にしました
『ハァ…ハァッ…!
もう少しよ…必ず助けるから頑張って…!』
「この子を守れるのは私だけ…」アピスは本能的にそう感じ、一生懸命走って校舎へ向かいます
息も絶え絶えになりながら森を抜けてやっと校舎に辿りついた彼女は、魔法医のナスターシャ先生にその生き物を診てもらいました。
『大丈夫…私がそばについてるからね。』
回復を待つ間、アピスちゃんは医務室でその生き物をずっと看病する事にしました。


靴を脱いで裸足になり、ベッドで彼(?)のそばに付き添うアピスちゃん
彼女自身も疲れてヘトヘトな上、靴下を履かずに素足で革靴を履いて森の中を走りっぱなしだったせいで足の裏はマメだらけでした。しかし今はその生き物の事で頭がいっぱいになり、それどころじゃありません。
『(この子どこからきたのかしら?何を食べるのかしら?
友達に…なれるかなぁ…)』
彼女は心配しつつも、未知なる存在との出逢いを前にして「知的好奇心」を抑えきれないようです。
魔法使いの少女アピスと空から降ってきた白い生き物…
二人の出逢いがこの世界《ルミエ・ラルム》の運命を大きく揺り動かす事になるのを彼女はまだ知る由もありませんでした。
アピスちゃん(8)のコメント
白くてフワフワしてて、ウサギみたいで可愛い…魔法生物とも違う生き物。
うふふっ、楽しみだわ…!

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