箒から落っこちたアピスを探すため、2歳のリトアは彼女が墜落した先━ランプランツスの森の中にたった一人で入っていきました。そこは昼間なのに暗くてジメジメして足場も悪く、魔物がウヨウヨ生息している危険な森でした……
『あうう。アピス、一体どこいっちゃったのさ…』
不安そうな表情を浮かべてアピスのことを心配するリトア…
《光の魔法》が使えるとはいえ彼はまだ幼く、魔物たちと戦ったり逃げたり、走ってばかりでヘトヘトです。
おまけに、不運にも足もとにあった「電撃キノコ」を踏んでしまうのでした…
思いっきり感電して黒コゲになるリトアくん
『いけない…忘れてた!たしかこの森には、高圧電流を持つシュパンピルツというキノコがたくさん群生してるって、
アピスが前に教えてくれたんだ。気をつけないと…』
めげずに立ち上がり、アピスから教わった「電撃キノコの弱点」を突いて何とかシュパンピルツの群生地帯をくぐり抜けたリトアは、暗い森の奥の方へさらに進んでいくとやがて日光がさしこむ明るい場所に出ました
そこには倒れたアピスと彼女に付き添う一人の「男の子」がいました
『彼女なら大丈夫さ 今は静かに寝ているだけ…』
貴族の少年エルマは穏やかな口調で言いました
花を摘むために森にきていた彼は偶然アピスが落ちてくるのを見て、傷ついた彼女を手当てしてくれたそうです。
『(あうう。すべてぼくのせいさ…!
箒で空を飛んでいるところが見たいなって、言いだしたのがいけなかったのさ…!)』
その心中を察したのかエルマ君はしゃがんで目線を合わせ、優しい声でこう言いました
『きみはアピスの事をすごく大切に思っているんだね…
どうか彼女をずっとそばで守ってほしいな。僕にはそれができないからさ…』
「守ってほしい」と言われてリトアは一瞬きょとんとしましたが、彼もまたアピスを友達として心から大切に想っているのだと知り、『うん、アピスは絶対ぼくが守る!』と力強く答えました。
それを聞いたエルマは満足し、リトアと一緒にアピスを安全な森の外まで運んでいったのでした
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