星母樹を巡るサニアの新たなる冒険


星母樹せいぼじゅねが

あの戦いから数日後、サニアちゃんは姉が破壊した街を立て直すための手伝いをしていました

『ねー!サニアもなんか手伝うよ』
『小っちゃいのに偉いな。ちょいと遠いが、この木材を畑に運んどいてくれや!』

サニアちゃんは荷物をたっぷり抱え、汗をかきかき元気に畑までひとっ走りしました
クオンの街に住む人々は穏やかな女王に影響されてか彼女があの襲撃者ソニアの妹だと知っても責めたり追い出そうとはせず、温厚な態度で接してあげていました

最初は怖がってたサニアちゃんも『(みんなやさしいヒトばっかり!)』だと分かって安心し、
街の人たちが早く元の暮らしに戻れるようにお手伝いする事にしたのでした。

『お姉ちゃんがやったコト…
まちがもとにもどれば、きっとゆるしてくれるよね』

サニアちゃんはそう考えて一生懸命お手伝いしました
そんな時ミヤビちゃんが一人で森の中へ入っていくのを見た彼女は、走って後を追いかけました

『ミヤビ~!どこいくの?』
『星母樹のところよ。心配だから…』

先日ソニアが暴れたせいで星母樹が弱っていないかミヤビちゃんは心配で様子を見にいくそうです。『いっしょにくる?』ときかれてサニアちゃんは勿論彼女についていく事にしました

『サニアもいっしょにいく!
こうなったのもお姉ちゃんのせいだしさっ…!』

川を歩きながらミヤビちゃんはあの夜の事をたずねると、サニアちゃんは「覚えてないよ」と答えました

『女王さまがね
サニアは”きおくそーしつ”なんだって!』

竜の血が目覚めたサニアちゃんは姉のソニアを力で大きく上回っていました
しかし…姉を徹底的に叩きのめした事で小さな彼女の心は深く傷つき、ショックで一時的に記憶喪失に陥ったのだろうと女王ミツキは語っていたそうです。ミヤビちゃんはそれを聞いて胸がきゅっと締めつけられました

『かわいそう…辛かったら、思い出さなくていいのよ』

ミヤビちゃんはもうこの話はしないと決め、サニアちゃんと森の奥へ進んでいきました
再び星母樹を訪れた二人は樹が無事でほっとします

『よかった!樹は大丈夫みたい…あれ?
どうしたのサニア?』

ミヤビちゃんはふと、サニアちゃんの様子がおかしい事に気付きます

『あのね、さっきからオンナのヒトの声がきこえるよ
たすけてほしいってさ!』

サニアちゃんは”女性の声が聴こえる”と言って、星母樹の周囲を探して声の主を見つけようとしました
けれども、どんなに探しても周辺には自分とミヤビちゃん以外誰もいません

『もしかして…あなたがしゃべってるの?

声の主は星母樹本人だとサニアちゃんは気づきました。

『ねー。こまってるコトあったらサニアにおしえて!
たすけてあげるからさ!』

サニアちゃんは水の中をちゃぷちゃぷ歩いて聖母樹に近づき、まっすぐ樹に向かって話しかけました

樹は魔法で彼女に”あるビジョン”を視せました
そこには七色に輝く木の実らしき物体が映っていて、樹はそれを手に入れて欲しいそうです

『ミヤビ!あのね、木がね、サニアにみせてくれたの
光るきのみをとってこいってさ!』

サニアちゃんは興奮しながら今視た光景を報告しますが、言葉っ足らずで上手に説明できなくて、ミヤビちゃんは困った顔をします。言いたい事が全然伝わってないと知ったサニアちゃんは『うぅ~』と歯がゆそうです

『こうしたらどうかな?
何を見たのか、絵に描いてみるの!』

ミヤビちゃんにそう言われて、サニアちゃんは視たものを一生懸命思い出しながら絵に描きました。

『こんなふうに光っててさー。
すっごいキレイなの』

ビジョンの中でサニアちゃんは虹のような光を帯びた不思議な木の実を視たそうです。ミヤビちゃんは左手で描いたのにとっても絵が上手だねと褒めてくれました

『エヘヘ♪サニア、左ききだしっ!』

絵が上手だと褒められていばるサニアちゃん
けれども、肝心の木の実が何なのかはミヤビちゃんも知らないようでした

『そうだ!ミツキお姉ちゃんだったら知ってるかも!』と二人はその絵を女王ミツキに見せました

『これは…もしや生命の実《ルミエ・ラシーヌ》
どこでそれを知ったのです?』

サニアちゃんは星母樹のもとで体験した事を話すと、女王は魔法の力を使って二人にビジョンを見せました。

『あっ!サニアがみた時とおんなじ!』
『うわぁ…きれい』

生命の実ルミエ・ラシーヌ
女王はそれを「星母樹の生命力の根源であり、すべての願いと想いの力の結晶」なのだと教えてくれました

『かつて星母樹には人々の願いを叶える力がありました
それは生命の実ルミエ・ラシーヌが樹とともにあったからです。けれど、今ではそれが失われてしまった…』

女王ミツキは悲しげな声で語りました
千年前にナハティガル・ヴァルプルギスという名の魔法使いが生命の実ルミエ・ラシーヌを持ち去ったせいで、星母樹の力は失われ、このままでは遠くない未来に樹は完全に枯れ、この世界は滅びるだろうと…

滅びるだろうと…

その衝撃的な言葉に小さな二人はビックリです
特にミヤビちゃんは、ずっと一緒に過ごしてきた姉がそんな大切な話を黙っていた事に怒ります

『許して下さい。これは秘密にすべき事…
何故なら、願いを叶える力の事が知れれば人々はそれを奪い合い、争いが起きるからです…だからわたくしはずっと待っていました。星母樹の声を聴く事のできる心清き者が現れるのを……』

女王ミツキはサニアちゃんの方へ歩き、柔らかいほっぺたを優しく撫でてあげました

『星母樹が選んだあなた達ならきっと正しく使える…わたくしはそう信じてお願いします。どうか見つけて取り返してきてください。奪い去られ、空の彼方へと消えていった樹の心臓を━』

女王の声は静かな決意に溢れ、
二人に”新たな冒険”の始まりを予感させました。

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