リトアと雪国の少女トート・ヤンソン


こおりおおわれた大陸たいりく

砂漠の冒険を終え、新たにドラゴンの少女「サニア」を旅の仲間に加えたアピスたちは次なる星母樹を目指し、
船に乗って《氷の大陸》のシェロアイランドにやってきました

そこは砂漠の暑さから一転寒さと氷に覆われた雪国でした

『みて、白くてつめたいのがたっくさん!』

雪をはじめて見るサニアちゃんは大はしゃぎ。
長い船旅で船酔いしてたのも忘れるぐらい雪に夢中な彼女に『これは雪っていうんだよ♪』とサヤカちゃんが教えてあげました

『かはーっ!この世は広いぜ!!
世界にはなぁ、お前が見た事ねぇ驚くようなモンばかりだ!
俺様たちがつれていってやる!旅を続ければもっと楽しい事がいくらでもあるぜ!』

オックスが豪快に笑いながら語るのを聞いて『サニア、もっと世界をみたい♪』とワクワクした様子のサニアちゃん

『(楽しそう。無理もないわ…
ずっとあの火山の中にいたんですもの…)』

抑圧され、孤独で寂しい日々を過ごしてきたサニアちゃんは、みんなと自由に外の世界を旅できるのが嬉しくて仕方がないようです。すっかり元気になったドラゴンの少女の無邪気な姿にアピスも何だか嬉しくなりました

『足あとだらけ!きゃはは♪』
『ねえサニア、いっしょに雪だるまつくろっ!』

『私も』『ぼくも!』街へ向かう途中で雪遊びをしだしたアピスたち
おかげでいつまで経ってもホテルに着かず、全員分の荷物を背負ったナイスガイのオックスも彼女たちの気まぐれに痺れを切らして『くっそガキども、いつまで遊んでやがる!!』と大声で喚きます

その時、リトアはオックスの図太い声に混じって氷河の割れ目「クレバス」の中から可愛らしい歌声が聴こえました

『(なんて透き通った綺麗な声だろう…
あの洞窟の中から聴こえるようだ。ちょっと見てこよう!)』

クレバスの洞窟の中はツララだらけで、冷たい水がたまった湖に氷がプカプカと浮かんでおり、
ゴム長靴を履いた女の子が氷の上に立って歌を唄っていました

『わぁ!とっても素敵な歌だ』

その可愛らしさにうっとりして思わず聴き惚れるリトア…
すると少女は演奏をやめ、水の中をバシャバシャ走ってこちらへ近づき『エヘ!見られちゃったの』と照れくさそうに笑いました

『氷のオーケストラへようこそ!
あたしはトート・ヤンソン、4歳なの♪』

その少女「トート」は舌ったらずな喋り方で自分はシェロアイランドの病院長の一人娘だと自己紹介します。
彼女は将来音楽家になりたくてよくここで演奏の練習をしており、自分の歌声をリトアが褒めてくれたのを喜んでいるようでした


リトアは水の中に立っているトートちゃんの足元を見ると、彼女が履いているゴム長靴の中が冷たい水で満タンになっておりました。心配そうに『足、寒くない?』ときくと彼女は笑いながら答えました

『平気!あたし、寒いの大好きなの!』

トートちゃんはチルシアンという雪国特有の種族で、寒さにめっぽう強くて《氷の魔法》が使えるのだそうです。
リトアは先ほど彼女が木の枝を杖にし、雪の結晶を召喚して舞わせていたのを思い出しました。

『あのね!まだしばらくここで唄ってるから、よかったら聴いててほしいの♪』

トートちゃんはそう言い再び氷の上まで走って演奏を始めます。
二人はすっかり打ち解け、アピスたちが心配して探しにくるまでずっと洞窟でコンサートを楽しんでおりました。

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