サニアと砂漠から来た少年アルフ


ひとりぼっちのサニアちゃん

火山に住む小さなドラゴンの少女サニアは遊び相手がいないせいか、しょっちゅうイタズラや悪さをしては周囲を困らせてばっかり。ある日、姉にこっぴどく叱られた彼女は一人でとぼとぼと溶岩地帯を歩いていました

『あ~あ、しばらくかえってこなくていいってさ!
サニアつまんなぁ~い!!』

姉にぞんざいに扱われた事に腹が立ち、不満そうにふくれっ面をするサニアちゃん
その表情は怒っているというより寂しそうでした…

『(遊んでほしかったのにな…お姉ちゃんのいじわる……)』

サニアちゃんは竜の女王ルティアの血を色濃く受け継いで生まれた特別なドラゴンの子供でした
しかしその強い力と「女王の孫娘」という立場のせいで誰からも畏れられ、彼女はずっと友達ができずに寂しい思いをしていました。何とか周りの気を引きたくても、まだ5歳という幼い年齢のサニアちゃんにはイタズラする事しか思いつきません…

『(サニア、ひとりで遊ぶのあきちゃった
友達ほしいなー)』

そんなとき、彼女は迷子になっている”一人の男の子”に出会いました

『(あれ、砂族のコドモ?パパやママとはぐれたのかな……)』

岩陰に隠れてその男の子をじーっと見守るサニアちゃん
その子は不安そうな表情で周囲をきょろきょろ見回していて、肌の色や服装から砂漠に住んでいる「砂族」の子供のようです

サニアちゃんはその男の子を見てると何だかドキドキしてきました

『(あのコも、サニアといっしょでひとりぼっちなのかな?
あのコとなら友達になれるかも…………)』

しかし、重大な問題がありました
祖母であり女王のルティアはとにかく異種族が嫌いで、中でも「砂族」が大嫌いなのです。『ワラワは砂族が大嫌いなのじゃ!絶対にやつらと関わるでないぞ』という祖母の言葉をサニアちゃんは耳にタコができるぐらい聞かされてきました

もし、砂族の子供と遊んだ事が祖母の耳に入ればいくら孫娘といえども厳しいお仕置きが待っています
サニアちゃんはそれを思うと暗い気持ちになりました…

『(ううっ…サニア、もうあんなイタイのヤダ!)』

またお仕置きされると思うと怖くてサニアちゃんは汗が止まりません
女王並みに優れた再生力のおかげで怪我がすぐに治る彼女ですが、そのせいで幼い身でありながら本来なら大人の戦士に与えるような体罰を受けるはめになったりとサニアちゃんは能力のせいで何かと辛い目にあってきたようです…

それでも、例えお仕置きされる事になっても、
彼女はその男の子と友達になるのをあきらめませんでした

『(オシオキされるのはヤだけど……でもサニア、やっぱりあのコとなかよくなりたい!
ちょっとぐらいならきっとばれないよ!)』

サニアちゃんは思い切って飛び出しました

『うわわっ…ド、ドラゴンだぁ~~!!』

男の子はサニアちゃんを見て逃げようとしましたが、彼女にあっさり捕まりました

『えへへ♪つーかまえたっ!』
『ぎゃあぁ~!ボクをたべてもおいしくないよ~!』

男の子は「食べられる」と思い、必死にもがいています
しかし、相手も自分と同い年ぐらいの小さな子供のドラゴンだとわかるとほっとしたのか大人しくなりました

『こんなに小さなサニアがこわいなんてさー、しんじられない!
あなたって”おくびょーもの”ね!』

小さなサニアちゃんの言葉が男の子にグサッと刺さりました

『そ、そんなコトないよ…ボク、ドラゴンの子供みたのはじめてだからおどろいただけ!
キミはこの山にすんでる子なの?』

『そだよ♪サニアはサニア!よろしくね』

サニアちゃんはやっと男の子とお話しできてニッコリ
男の子の方もサニアちゃんが普通の女の子だと知って心の底から安心したようでした

『そうだ!ねえっ、いいとこつれてってあげる♪』

もっと遊びたくなったサニアちゃんは、男の子を自分の「隠れ家」につれていく事にしました

『ここさー、サニアのひみつきちなんだ♪』

靴を脱いで裸足になり、楽しそうに足をぶらぶらさせるサニアちゃん
ずっと一人だった彼女は同い年の男の子とお喋りできるのが嬉しくてたまらない様です

無邪気な女の子のサニアちゃんと一緒に過ごしている内に男の子はそんな彼女にだんだん惹かれていきました

『ボクのなまえはアルフ!
ボクのじいちゃんはぎっくり腰なんだ…』

アルフ君は腰を痛めた祖父を治すために火山の奥深くに眠るという、永遠に熱を発し続ける石《サンストーン》を探しにきたのです。はるばる砂漠からやってきたアルフ君をサニアちゃんは無性に助けてあげたくなりました

『その石なら、いっぱいあるばしょしってるよ!サニアがつれていってあげる♪』
『ホント?ありがとう!』

アルフ君とすっかり打ち解けたサニアちゃんは嬉しくて、自分の住む火山の中を案内してあげたのでした

サニアちゃん(5)のコメント

きいてきいてっ!!
サニアねー、友達つくったよ♪アルフっていう砂漠にすんでるオトコのコ!
ひみつきちでいっぱいおしゃべりしちゃったの♪
アルフのおうちはとおい砂漠のむこうにあるんだって!
砂漠ってどんなトコ?ってきいたら暑くて、かわいてて、すっごく広いとこだっていわれたの
あと…!とおくにマボロシがみえたり…
さわるとチクチクするヘンテコな草がたくさんあるんだって!
サニア、今まで火山から出たときなかったけど…外にはフシギなものがいっぱいあるんだね
えへへ♪かんがえてたらサニア外に出たくなっちゃった!
こんどさー、アルフにつれてってもらお!

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