アルフ
《砂の大陸》のおてんば王女「アルテッサ姫」はいつものように宮殿を抜け出し、広大な砂漠を自由気ままに歩いておりました
『はぁ…今日はいちだんと暑いなぁ
汗かいちゃったから、水浴びでもしようか。フフフッ!』
オアシスに立ち寄ったアルテッサ姫はそこでターバンを頭に巻いた小さな男の子がばしゃばしゃと水遊びをしているのを見つけます。近くの村に住む5歳の少年「アルフ」でした
『オアシスの村のアルフくん…だよね?
今日はサニアちゃんと一緒じゃないんだね?よく遊んでいたのにさ!』
アルテッサ姫の問いかけにアルフくんは悲しそうに答えます
『あのね…ドラゴンの戦士がやってきて、サニアを火山へ連れて帰っちゃったんだ』
『やぁっ!放してディマ…
サニアはアルフといっしょに遊ぶの!!』
サニアが砂族と遊んでるのを知った竜の女王ルティアは激怒し、強大な力を持った戦士ディマを送り込んで彼女を連れ戻させました。それ以来アルフはずっとサニアに会えなくて寂しい思いをしているそうです……
「竜族」と「砂族」に古くから続く種族間の対立を先代から聞かされて知っていたアルテッサ姫はアルフに言いました
『ボクの夢はね…二つの種族が争わず仲良く暮らしていける
優しい砂の国をつくることなのさ。キミとサニアちゃんがまた一緒に遊べる日が早くやって来るようにね』
『ホント!?』と聞き返すアルフにアルテッサ姫は『王女は嘘をつかないよ』とニッコリ微笑みました
それを聞いたアルフくんは嬉しくなって王女としばらくお喋りした後、バイバイして元気に村へ走っていったのでした。
–サニアを失った日–
そしたら「ディマ」っていう強いドラゴンの戦士が空からやってきてサニアを無理やり連れていっちゃった。その人に力いっぱい手を掴まれてサニアものすごく痛そうだった…
それなのにボクが砂漠に連れだしてサニアが怒られちゃったんだ……
でもそうしたらまたサニアがひどい目にあわされるし……
ボク、どうしたらいいの……
ディマに腕の骨を折られ、激痛に苛まれるサニア…
その光景を見て「自分のせいだ…」と思ってしまったアルフくんは、これ以上サニアが痛めつけられないよう彼女に会いたい気持ちを我慢し、王女に打ち明けるまでずっと一人で寂しさを抱え込む事になるのでした……
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