パティシエ
講義が終わって教室から出ていこうとするクラリス君のところへ
同級生の女の子トート・ヤンソンちゃんが走ってきて『ねぇ今日ヒマ?』と声をかけてきました
『暇だけど…どうしたのさ?』
『えへへ♪あのねー!あたしについてきてほしいの♪』
トートちゃんはそう言って一目散に走りだし、クラリス君は気になって後を追いかけてみる事にしました

『クラリス何してるの~!はやくはやくぅ♪』
『待って!一体どこ行くのさ!!』
ゴム長靴を履いた足で雪道を走っていくトートちゃんに、クラリス君はひーひー言いながら頑張ってついていきます
走った末二人が辿りついたのは町はずれにある小さなパン屋さんでした

『ここあたしのお気に入りの店なの♪
いつもパパやママと、ここでシュネーバル買いにきてるの♪』
お菓子のあま~い匂いに思わずヨダレをたらすトートちゃんですが、クラリス君は走りすぎてヘトヘトでそれどころじゃありません。そこへコック帽をかぶったケモノ耳の少年「ミーシャ」がやってきました
※シュネーバル。雪玉のような、サクサク食感が特徴の丸いクッキー状のお菓子。トートの大好物だそうです

『ヘイヘイヘーイ!ミス・ヤンソンじゃないか
丁度よかった!どれもこれも焼いたばっかりで香ばしいぜぃ☆』
ミーシャ君は焼きたてのパンを手に持ち、陽気なステップを踏みながら二人に近づいてきました
それを見たクラリス君は起き上がって不思議そうな顔して彼にたずねます
『ミーシャ!そんな事して大丈夫?
たしか子供がアルバイトするのは禁止されているはずだけど…』
同級生が校則違反をしているのではと心配するクラリス君にトートちゃんは『あのね』と説明しました
『ミーシャはおカネはもらってないの。ただお店の手伝いしてるだけなの
大きくなったらパティシエになるのがユメなんだってさ♪』
『その通りだぜぃ☆』と得意げにピースするミーシャ君。
いつもパンを買いにきてくれる常連のトートちゃんに彼は店長からのサービスだと言ってトマトサンドを分けてくれました
『えへへ♪サービスされちゃったの
さっそくクラリスのおうちへいって食べちゃうのっ♪』

大好きなクラリス君と一緒にいるのがよっぽど楽しいのかテンション高めなトートちゃん
クラリス君は『(なんで僕の家!?)』と思いつつも特に断る理由も無いので、彼女を自分の家に招くことにしました

『んっまぁ~い♪クラリスの部屋で食べるシュネーバルは
いつもよりいちだんと美味しいの♪』
自分の部屋で嬉しそうにお菓子を頬張るトートちゃん。その姿があまりにも愛くるしいので、
クラリスは『(え?どこで食べようが同じ味だと思うけど…)』と言いたくなるのをぐっと我慢したそうです
–本好きの少年クラリス(6)のコメント–

最近あまり学校に来ないなと思ったら店でお手伝いしてたんだね。で、将来の夢がパティシエなんだってさ。男の子なのに可愛らしい夢だよね。

『絶好調さ!!オイラは天才だから心配ないぜぃ☆』って自信たっぷりにいわれたよ
本当に…大丈夫かな?なんか僕すっっごく不安なんだけど…杞憂、だよね……恐らく…たぶん……

靴下履かないと足寒くない?ってきいたら案の定『あたし寒いの大好きなの♪』だって。

デヘヘ…
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