水を司る貴族の少女「マヤ」


貴族一きぞくいちのワガママむすめ

島の下層へ向かう新しいメンバーに「マーレ家」の一人娘マヤを引き込もうと考えたアピスとエルマは、
彼女とこっそり会うために二人で深い林の奥へと足を運びました

『マヤのやつ遅いな…ねぇアピス?
ただ待つのもヒマだし僕と蹴鞠して遊ぼうよ!』

待ってる間退屈なのでエルマはアピスに鞠で遊ぼうと持ちかけます

『え?けま…なんですって?』『蹴鞠さ。地上のとある国にあったお遊戯さ!今貴族の子供の間で流行ってるんだ!』
エルマがにこにこした笑顔で言うのでアピスちゃんはよく分からないまま蹴鞠で遊んでみる事にしました

『はあ…はあっ…!エルマくん、もうちょっとゆっくり走ってよ~……』
『何いってるんだい?それじゃ面白くないじゃないか!』

楽しそうに鞠を追いかけるエルマ君に走っても走っても追いつけないアピスちゃん…
女の子なので元々体力が低めな上小柄な彼女は足が短い分歩幅も狭くてこういった遊びは苦手な様でした。

『ふぅ~いい汗かいた!どうアピス、蹴鞠って楽しいでしょ!』
『(私はぜんっぜん楽しくない…!)』

さんざん走ったのに一回も鞠に触れず、アピスちゃんは走り疲れて息も絶え絶えな様子
エルマ君は彼女の不満に全然気づいてないのかハンカチで汗を拭きながら嬉しそうに『またやろう!』と笑顔で言います

そんな折、ようやく「待っていた人物」が姿を見せました

青の衣装に身を包んだ9歳の貴族の少女「マヤ」は、最初は岩の上に立ってじっと二人の事を見下ろしていましたが、しばらくしてトン!と芝生に飛び降りてゆっくりこちらへ歩いてきました

その表情は何だかとっても不満げでした



いきなり怒鳴られてずっこけるアピスちゃん

『あのね!わたしたちは身分が違うの!分かる!?
アンタが一緒にいるのが大人達に知れたら、エルマが罰を受けさせられるんだから!!』

鬼気迫る勢いでアピスを責め立てるマヤちゃんを見てエルマ君は『まぁまぁ…僕なら平気だから』となだめますが、
『何さ!!この子を庇うわけ!?』と逆に怒らせてしまいます

どうやらマヤちゃんは二人がいつも隠れて会っているのがとっても気に食わないようです

『この身の程知らず!下層に行きたかったら一人で行けばいいじゃない!!
わたしたちを巻き込まないでくれる!大迷惑だから!!』

『そんな事言われたってさ……』

一方的に言われっぱなしでアピスは何とかマヤに言い返そうとしますが、自分たちが戒律をやぶっているのは紛れもない事実であり、下層へ行くにも彼女の協力は必要なので、だいぶ悔しい思いしながらぐっと気持ちをこらえる事にしました

『(ううっ…エルマくんには悪いけど、この子と仲良くするのは正直無理かも…)』

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