ジョバンニ
魔法修行の旅を続けるグリモワールとジョバンニの姉弟は、
険しかった山岳地帯を抜け、そのさきにあった森の中で「熱水のどうくつ」を見つけて入っていきました
『うぅ…ボク熱いのニガテなのにさ…
何だってこんな場所通らなくちゃなんないんだよ~?』
『黙って歩きなさい、ワタシの占いによるとカンナギへはこの洞窟を通るのが一番の近道なのですから』
硫黄の匂いが漂う洞窟内はモクモクと濃い湯気が立ち込め、暑がりな弟のジョバンニは『ちぇっ…姉さんは暑いの平気でずるいな』と汗びっしょりになって文句を垂れます。しばらく進むと大きな池があり、二人はそこで立ち止まります
『どうやら、先に進むためには池の中を歩く以外なさそうですね。
靴を濡らすのは不本意ですが……』
池はぐつぐつと沸騰していて見るからに熱そうですが、姉グリモは涼しい顔して入っていきました
それを見たジョバンニは『なぁんだ!見た目より熱くないのか』と安心し、姉を追いかけてピチャピチャとお湯に足を浸からせます。
しかし……
『あちちちちッ!!
このお湯!めっちゃくちゃ熱いじゃん!!』
お湯は予想以上の熱さでした
ぐつぐつと煮えたぎった高温の熱湯が靴の中に入ってかなり熱い思いするジョバンニくん
炎の魔法使いである姉グリモは「火や熱さに強い体質」であるという事を、彼はすっかり忘れていたようです。
ジョバンニは熱くて涙を浮かべながら姉に助けを求めますますが、彼女はそれを無視して先へ進んでしまうのでした
『姉さん!そんなぁ~…』
姉に見捨てられた事にショックを受けますが今はそれ以上に足元が熱くてたまりません
そこでジョバンニは急いで袖の中から杖を取り出し、池に《氷の魔法》かけて熱湯をヒンヤリした冷たい水へ変えてしまいました
『へへん、最初からこうすりゃよかったのさ♪
待ってよぉ~!姉さぁーん!』
お湯が熱くなくなったのを確認したジョバンニは、水の中をばしゃばしゃと走って姉の後を追いかけていったのでした。
–洞窟の中–
姉さんが平気そうだから池に入ったら、お湯が死ぬほど熱くて足が焼けるかと思ったよ
先に言ってくれればいいのに姉さんのイジワル。ボク、あんな熱い思いを味わうのはもうこりごりさ…!
背後からヌルリと現れるのはやめてよね!
ワタシたち姉弟がこうして旅を続けているのはひとえに魔法の修行のためなのです。
なのにアナタはそれを忘れ、何かとすぐワタシに頼りたがる…
はじめて一人前の魔法使いと呼べるのです。
さっきはあえて何もしなかったの?
あれぐらいの状況には対処できると信じていましたからね。
姉さんだいすき!!
全く…、本当に世話のかかる弟ですね…!
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