魔術師姉弟と小さな船乗りの子


港町みなとまち宿屋やどや

旅の途中で「港町カンナギ」を訪れたグリモワールジョバンニの姉弟は、
久々に立ち寄ったこの大きな町でしっかり旅費を稼ごうとリップル女将が営んでいる宿屋で住み込みのアルバイトをする事にしました

『はぁ~…ボク、疲れちゃった』
『ワタシもです……』

旅の間ずっと歩きっぱなしでヘトヘトな二人はようやく荷物を下ろして、久しぶりにフカフカのベッドで寝られる事にほっとします。そんな時、ドアが開いて「小っちゃな男の子」が元気に走って部屋に入ってきました

『ねえ!おにいちゃんたちってさ、魔法使いでしょ!?』

男の子は「ナギサ」という名前で、姉弟が道ばたで大道芸している所を偶然見たそうです。
ジョバンニが『そうさ♪ボクと姉さんは超一流の魔法使いさ♪エッヘン!!』と自信満々に名乗ると、ナギサ君は大はしゃぎ

『うわーい!魔法使いさんだ!!
パパー!ボクこのおにいちゃんたちと遊びたい!!』

廊下でリップルさんと立ち話していた父親のタジマさんは『コラコラ!二人に迷惑かけちゃいけないよ!』と息子をたしなめますが、ナギサ君は『ヤダヤダ!遊びたいよう~!!』と駄々をこねはじめます

『ンモ~!しょうがないわねぇ~!
悪いけど二人とも、チビちゃんの面倒をみてもらえる?』

リップルさんは姉弟にお願いし、ナギサ君も一緒の部屋に泊まらせる事になりました

『ボクと姉さんの得意芸さ!』

ナギサ君が持っていたスーパーボールで得意のジャグリングを披露するジョバンニの図
無邪気にはしゃぐ小さい子と遊んでるうちにジョバンニ君はまるで可愛い弟ができたような気がしてマンザラでもなさそうでした

–魔術師少年ジョバンニ(11)のコメント–

今日はね 宿屋でナギサくんっていう3歳の小さな船乗りの子供に出逢ったんだよ!
父親のタジマさんと「ルイゼン」という雪国の港町からきて、リップルさんの宿屋に滞在してるんだって!
ボクたちが魔法使いだと知ったらその子、すっごく喜んでくれたんだ♪
ナギサくんって魔法とか手品が好きらしくてさ!
ボクのもちものに興味津々で、特にタロットカードが目をひいたみたい!
「これはタロットカードっていう占いの道具だよ!」って教えたらすっかり夢中になってさ♪
なんだか弟ができたみたいでボクちょっと嬉しいなぁ~
お互い当分はカンナギに滞在するし、部屋が一緒だからナギサくんとはちょくちょく遊べるね!
あなたは相変わらずのんきで鈍感ですねジョバンニ…
この話には「裏」があるというのに!
裏って何さ?
ワタシは見たのですよ…!
リップルさんがタジマさんを口説いている所を!
『お子様たちがいなくなって、これでタジマさんと二人きりね。
大人同士で楽しみましょう!うっふん』…そう言ってお乳を妖しく揺らしてたんですよ
恐らくリップルさんの部屋では今頃、ヤラシイ事が行われているに違いありません。
!??
はあ…!?
タジマさんのワイフがこの事態を知ったら…果たしてどう思うでしょうね?
きっとドロドロの修羅場になるに違いありませんよ!
き…きっと姉さんの思い過ごしだよ!
そうに決まってるさ!
果たしてそうでしょうか?
ワタシは調査の必要があると思いますがね…!ふひひひ…!
(姉さん…ちょっと怖い……!)

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