魔導物理学校がまもなく夏季休暇に入ろうとしていた頃…
アピスはルームメイトのステファニーが突然「落第」を言い渡され、学校を退学させられる事を知ったのでした
『嘘よ…そんなの嘘に決まってるわ!!』
居てもたってもいられずに寮を飛び出したアピスは、急いで本校舎のゼノフィリアス校長のもとへ行って助けを求めました
『残念ながらワシにもどうする事もできんのじゃ アピス…
若きステファニーはこの国の戒律に則り、すでにメディチ先生とダウンヤードへ旅立ってしまった』
校長はそう言って窓の外のはるか遠くの方を指さしました
ダウンヤードとは、イーデ島の最下層にある戒律をやぶった罪人や「魔法の才能が無い」と見なされた落伍者たちが送られる場所で、一度そこへ行った者は二度と帰ってこれないといわれる場所でした……
『なんで…どうしてステファニーが?あんなに頑張ったのに!
そんなの絶対ダメ!!』
『はぁ…はぁっ…!!
いかないで…ステファニー!!』
大切な友達が二度と会えない所へ行ってしまう…
我を忘れて学校を飛び出したアピスは走りに走って、息も絶え絶えになりながら街の外でようやく二人を見つけました
『ミス・ルーメイア……残念ですが
これは戒律によって定められた事なのです。逆らえばあなたにも厳しい罰が下るでしょう…』
一生懸命走って追いかけてきた彼女にメディチ先生は冷たく告げ、友達の事はあきらめるよう諭しました。
『イヤ…イヤよ!』頭を横に振り、泣きそうな目でステファニーの顔を見るアピス…
『大丈夫。離れていても、ずっと友達だよ……』
ステファニーは涙ながらにそう言ってアピスを抱きしめた後、メディチ先生と二度と会えないイーデ島の下層へ行ってしまいました。残されたアピスはただ去っていく親友を見送るしかありません……
『アピス…』
リトアは彼女を慰めようとしますが、かけてあげる言葉が見つかりません
一番親しかったステファニーとの突然のお別れ……
アピスは彼女が去った後もずっと、日が沈むまでその場に立ち尽くしていました
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