アピスと幻の透明薬


アピスのあらたな挑戦ちょうせん

仲良くしていたルームメイトのステファニーが学校を去ってしまい、
残されたアピスは寂しい気持ちを振り払うかのように、女子寮の部屋に閉じこもって「ある魔法薬」の調合に励んでいました

『きゃあっ!!アツイ…!』

調合をしくじったのか大鍋から炎が激しく燃え盛り、熱くてたじろぐアピスちゃん

杖を取り出してあわてて「消火魔法」を唱えようとしますが、
あと一歩のところで間に合わず、大鍋のなかにたまった魔法薬に引火して爆発を起こしてしまい……

こんがり焼かれたアピスちゃん

『心配してくれてありがとう。私は平気…
女の子だったらこういうの結構しょっちゅうあるから……』

アピスは苦笑いを浮かべて元気そうに振舞いますが、その身体は真っ黒こげで、熱い鍋を何度も触ったせいか手は火傷だらけでした。そんな彼女を見てリトアは『そんな一生懸命、何をつくってるのさ?』とたずねます

『透明薬よ♪完成すれば一時的に姿が見えなくなって、誰にも気づかれずに動けるようになるんですって
これを使えば「ダウンヤード」にいるステファニーに会えるかもしれないでしょ?
まあ ちょっと調合が難しいのが難点だけどさっ…』

アピスの考えを知ったリトアは驚きとともに嬉しさがこみ上げました
おっちょこちょいで明るく、よく自分と遊んでくれたステファニーがいなくなって彼も寂しいと感じていたのです

『このまま二度とステファニーに会えないなんて絶対に嫌…!
それで私、何とか彼女を助けられないか考えているの。でも、それにはまず透明薬を完成させなくちゃねっ♪』

すっかり魔法薬づくりにのめり込んだアピスは、何度かさっきのように失敗しながらも確実に手ごたえをつかんでいき……
何とその日の内に「透明薬」の調合を成功させたのでした……

『この薬があればステファニーに会えるっ!』

「透明薬」を手に入れてすっかりご満悦顔のアピスちゃん
熱い爆風を浴び続けたせいで体中黒コゲなのに、その顔はやり遂げた事への達成感と自信で輝いておりました

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