炎の守護竜サニア!アピス、火山からの脱出


たすけにきた竜娘りゅうむすめ

マグマが煮えたぎる火山に一人取り残されたアピスは、溶岩だらけの危険な環境の中、
火山から脱出する方法と「仲間たちの行方」を探るために思い切ってドラゴンたちが住んでいる街へ足を運びました

『(よかった。ドラゴンって乱暴で怖い人ばかりだと思ってたけど、
意外に話が通じるみたい……)』

好奇心旺盛な8歳の少女にドラゴンたちは自分達の成り立ちや歴史、文化、身体の仕組みなどあらゆる事を幅広く教えてあげました。またアピスは会話の流れから、火山に連れてこられたのが自分一人だけだと推察しました

『ドラゴンたち、私が普通の女の子だと思って安心してるみたい。有意義な話を色々きけちゃった♪
こう見えても大人顔負けの魔法使いなんだからさっ
自力でここから脱出してみせるわ!』

自分の能力に自信たっぷりなアピスちゃん
しかし、街を出ようとする彼女の前に非常にガラの悪い「ドラゴンの戦士」が立ちはだかりました

『ハッハァーッ!こんな所にエルフのカワイコちゃんはっけぇ~~~~~ん!!
オレと気持ちいいコトしようぜ!ぶひゃひゃひゃ!!』

アピスは何だか身の危険を感じ、すぐに風の魔法《ヴィント》を放って彼を転ばして逃げました

『はぁ…はぁっ…!
何よアイツ!本当しつこい…!』

執念深くどこまでも追いかけてくる例のドラゴン戦士から何とか逃れようとアピスは必死に走り続けますが、
走り回っている内に、どんどん溶岩がある方へ近づいていきました…

『あっち行っても、こっち行っても溶岩だらけ!!
もう嫌、どうなってるのよ~っ!!』

いつも冷静な彼女も何かよく分からない怖い人に追っかけられて気が気じゃありません。
走り疲れてヘトヘトになった彼女はとうとう溶岩の川の淵へ追いつめられ、逃げ場を失ってしまうのでした

『このメスガキィィ~!おれさまをコケにしやがって!
このまま溶岩に落ちるか、ファイアスライムの巣穴に生きたまま放り込まれるか、好きな方を選べや!!』

ドラゴンの戦士は残忍な表情を浮かべながらこちらへ迫ってきました
魔法で対抗しようにも、火山の猛烈な熱さから身を守るために「風のバリア」を張り続けているせいでMPがほとんどからっぽです。成す術がなくなったアピスは怯えながら後ずさりしますが、すぐ後ろには溶岩があり……


『きゃぁ!熱い!!』

溶岩の熱で足の裏を焼かれるアピスちゃん
前には恐ろしいドラゴン戦士、後ろは煮えたぎる溶岩の川…おまけにMPゼロで彼女もお手上げです。

『(もうダメ…このまま溶岩のなかに突き落とされて、
死んじゃう運命なんだわ私…)』

アピスが自分の運命を悟ってあきらめようとした時…
どこからともなく、ばさばさっと「羽ばたく音」がきこえました

羽音の主はアピスと友達になったドラゴンの少女サニアでした
サニアは「炎の翼」を広げながらアピスの前にきて、片方の足をだしながら言いました

『サニアの足につかまって!!はやくっ!!』

アピスは咄嗟に利き腕の左手でサニアの足をつかんで一緒に空へ飛び立ちました
それでもドラゴンの戦士はしつこく追ってくるので、サニアはずきんを外して「本気モード」になり、猛スピードで戦士を振り切ってアピスを無事火山の外にある砂漠まで連れていったのでした

『すごい…あなた空も飛べたのね!その上速くて驚いちゃった
本当にありがとう。あなたが来なかったら私、溶岩に落ちて焼け死ぬところだったわ!』

褒めてもらったのが嬉しくて『サニアは守護竜(しゅごりゅう)だしっ♪』と得意げに言うサニアちゃん
一生懸命飛び回ったおかげでサニアちゃんは体中汗びっしょりでしたが、友達を護る事ができて表情はとっても満足そうです

アピスは、彼女が足を痛そうにしているのが気になりました

『たいへん…!足を怪我してるじゃない!!』

足を掴まれながら全力で飛んだせいで、サニアちゃんは足を強く捻挫していました

『ごめんなさい。私を助けたせいで…
この前も腕を骨折したばっかりなのにまた怪我するなんて…かわいそう……』

自分のせいでこの小さな子が二度も傷ついたのを知って、アピスはいたたまれない気持ちになります
サニアはそんな彼女を元気づけようと『あのね!ウデなおったよー』折れていた腕が完治しているのを自慢げに見せました

『ほらね、だいじょぶ!サニアはどんなにケガしてもすぐなおるしっ!
これぐらいガマンできるからへーきだよ』

相当痛いはずなのに『へーき!』と気丈に振舞われて困惑するアピスちゃん
この子が普段、周りからどんな扱われ方をしてきたかを察して彼女はとても悲しい気持ちになりました

『(このまま火山にいさせたらダメ……
何とかして、外の世界にもこの子の居場所をつくってあげないと……)』

そのとき、アピスちゃんは母性本能から「この子を守らなくちゃ」と強く思いました

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