
妖精の女王に
『お姉ちゃん…あたし、この子と行ってくる』
『はい。行ってらっしゃい』
ミヤビちゃんは姉としばらく会えなくなると思うと辛くて泣きだしてしまいます
大好きな人とのお別れを何回も経験しているサニアちゃんはそんなミヤビちゃんのつらい気持ちが分かるのか、彼女が寂しそうなのをみて『サニアがついてるよ!』と元気づけてあげました
そこへ、ライが大量の荷物を持ってドシンドシンと足音を立てて現れました
『オメーらだけじゃ頼りねぇから俺様が同行してやんぜ
旅はこの冒険のプロのライロック・ザ・ディボルバー様の専門分野だからな!』
ライが一緒にきてくれると聞いてサニアちゃんは喜びますが、それと同時にちょっぴり不安そうでした
彼はソニアとの戦いで腕をへし折られたせいで入院するはめになっていたからです
サニアちゃんが『あのさっ…!ウデ、だいじょうぶ?』ときくとライは彼女の頭に思いっきりゲンコツしました
『イタイ~!なにすんのーっ!』
『けっ!この通り完治してピンピンしてんぜ!チビの癖につまらねぇ心配すんじゃねぇよ!』
ライは入院中酒が飲めなかった事だけが不満だったぜと笑い飛ばします。ライが怒ってないと分かってサニアちゃんはほっとし、彼とミヤビちゃんの手を両方ともひっぱりながら『よろしくね!』と満面の笑みを浮かべます
明るいサニアちゃんがいてくれるおかげで、ミヤビちゃんも何だか元気が出て笑顔になりました
その時彼女はふと昨日姉に言われた事を思い出します。
旅立つ前の日…
ミヤビちゃんは女王ミツキが妹の自分に隠し事をしていたのを知ってカンカンに怒っていました
『あたしだって何回も星母樹様と話してるのにさ…!
星母樹様もお姉ちゃんもこんな大事なコトをなんでずっと黙ってたの!?』
納得いかない妹に女王は理由を伝えると、ミヤビちゃんは図星を突かれてドキッとしました
『わたくしも星母樹もあなたに意地悪していた訳ではありません。ただその時がくるのを待っていたのです。
そう…“彼女”のような子が現れるのを。』
女王は「けれども…」と続けました
『いくら強い力を秘めていても彼女はまだ純粋な幼子…
道を間違えればあの子の力はこの世界にとって災いとなる事でしょう。ですからミヤビ…あなたがそばにいて見守ってあげて下さい。あの子が辛い時、その心を支えてあげて下さい。ここを動けぬわたくしに代わって……』
女王は彼女たちの無事を祈り、旅立っていくミヤビちゃんに「守りの宝具」を授ける事にしました。
『その小槌はクロッシュ・ド・フェーリ。わたくしたちの古い言葉で「妖精の鐘」を意味します。
あなた達が危険に陥った時…助けてくれるはずです。』
ぽかぽかと暖かい光を放つその小槌はミヤビちゃんが触れると小さくなり、彼女のポシェットの中へと入っていきました。それを見たサニアちゃんは『ずるい~!サニアにもなんかちょうだいっ!』と不満そうです
『わたくしの力など無くとも…あなたには立派な「翼」があるじゃありませんか。
その力でミヤビの事を護ってあげて下さい。』
ふくれっ面のサニアちゃんをみて女王は困ったような顔で笑い、妹をどうかよろしくねとお願いしました
『わかった!!
サニア、ミヤビのコト護る!まっかせて!』
サニアちゃんは得意げにVサインしました
こうして三人はクオンの都を後にし、女王ミツキは元気に旅立っていった彼女たちを見送りながら『(どうかあの子たちに光の加護がありますように…)』と静かに祈りを捧げておりました。
『ヤッホー!海だよ!海~っ♪』
高い丘の上を進んでいたサニアちゃんたちは、そこからの眺めに感動して思わず「わぁぁ」と声が出ました
そして…
一行は遠くの方に次の目的地である大都市スピカシティを見つけます
『みてみてっ!おっきな船があるよ~!』
『あれは豪華客船だ。近くで見たらもっとデカいぜ
なんせあの船の中にゃ町一つが丸ごと入ってるみてーなもんだからよ!』
ライの話をきいてサニアちゃんはビックリです
小さな彼女はこれからどんな冒険が待っているのか想像してワクワクした気持ちになり、楽しくなって元気に跳び回っていました
『ぐふふ…行きてぇだろ?俺様がつれてってやんぜ
行くぜチビども!かはーっ!!』
こうして、サニアと仲間たちの
一方、その頃…
サニアちゃんたちが出発したのと時を同じくし…
遠く離れた霧深い森で“風変わりな衣装に身を包んだ少女”がマントを着た謎の集団に追いかけられていました
『ハァ…ハァッ…はやく妖精の女王に会って
この事を伝えないと…!』
少女は息を切らしながら必死に走って追手から逃げようとますが、霧のせいで視界が悪く、
走り回っている内に崖へと追いつめられてしまいます
逃げ場が失くなって狼狽える少女をみて、集団の中にいたピエロのような恰好の男がせせら笑います
『アピスちゃんよぉ、鬼ごっこは終わりだぜ
観念してオレらと来るんだな!』
男はその少女「アピス」を捕まえようと手を伸ばします
アピスは怯えた表情で後ずさりしていると、うっかり崖から足を滑らせてしまいました。
『きゃあぁぁ~っ!!』
アピスは叫び声とともに谷に落ち、深い霧の中へと消えていきました…

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