森で出会った冒険家の青年ライと星母樹の都《クオン》にやってきたサニアちゃん
そこは大きな滝と古風な建物が並ぶ荘厳な佇まいの街で、年に一度催される「星祭り」のために各地から人々が押し寄せていました
『オッマツリ♪オッマツリ♪たっのしー♪』
サニアちゃんは街の賑やかな雰囲気が楽しくて大はしゃぎです
無邪気にあちこち駆け回る彼女をライは『おい転ぶんじゃねーぞ!』とまるで親のように見守っていました
そんな時、向こうから一人の少女が走ってきてサニアちゃんとぶつかりそうになります

ガンッ☆
二人は派手にぶつかり、サニアちゃんは転んで怪我をしました
『イ…イタイ~…!』
転んだ拍子に膝を思いっきり地面にぶつけたらしく、血が出て痛そうでした
羽が生えた妖精族の少女は倒れたサニアちゃんを見て『大丈夫!?』とあわてて駆け寄りました

『えへへ…だいじょぶ
このぐらいのケガ、すぐなおるしっ!』
痛いのに我慢して『へーき』と言ってくれるサニアちゃん
少女はこんな小さい子が自分のせいで怪我したのをほっとけませんでした
『今治すから待ってて!』
少女はサニアちゃんを池のそばのベンチに座らせ、回復魔法で膝の傷を治してあげました

『よーせいのおねえちゃんも魔法つかえるんだね
サニア、よーせいにあうのはじめてだからビックリしちゃった!』
サニアちゃんは回復魔法を受けるのも妖精族に出会うのも初めてでした
怪我を治して貰ったのが嬉しくて『あのね!サニアはサニアだよ♪』と元気に名前を教えると、少女も自己紹介しました
『あたし、
星母樹のお世話係をしている巫女なの』
ミヤビちゃんは『まだ見習いだけどね…』と照れくさそうに付け加えました
彼女は星母樹へのお供え物を運んでいる途中で道に迷い、遅刻しそうになって急いでいたそうです
『あ?ドジな奴だな、そんなんでよく巫女が務まるもんだ
世話係が自分の世話もできねぇとは傑作だぜ!ギャハハハ!!』
ゲラゲラ大笑いするライを見てサニアちゃんは何だかムッとしました
『ねぇ!サニアもあのおっきな木いきたいからさー
ミヤビもつれてってあげる!ふたりで空を飛んでいけばすぐつくよー!』
翼を広げ、片方の足を出して『足につかまって♪』と誘うサニアちゃん
ミヤビちゃんは驚いていましたが、言葉に甘えて二人で星母樹に向かって飛んでいきました
ライは置いていかれて『ふざけんなクッソガキども!待ちやがれ!!』と悪態をつきながら後を追ったのでした
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