
ケーキをおなかいっぱい食べた女の子たちは、こんどは三人でかくれんぼして遊ぶ事にしました
『やーん!あたしがオニ~…』
『じゃあサニアとアピスはかくれるから、ミヤビは100かぞえるまでうごくのきんし!』
ジャンケンした結果ミヤビちゃんが二人を探す側になり、サニアちゃんはさっそく隠れる場所を探しにいこうとします。しかしアピスちゃんがぼーっと立ったまま動かないのに気付いて急ブレーキして彼女の方に駆け寄りました
『ねー!かくれないとみつかっちゃうよ』
『ごめんなさい。私、かくれんぼした事なくて……』
アピスちゃんはかくれんぼするのは初めてでどうすれば良いか分からずオドオドしていました。サニアちゃんは彼女の手をひっぱって『じゃあさー!サニアといっしょにいこっ♪』と言い、隠れられる場所を探しに広~い船内を二人で元気に走り回ります。その途中、彼女たちは小さくて黄色い生き物がぴょんぴょん跳ねているのをみかけました
『あれはバニリン…!
森に住んでいる草食の大人しい魔物よ。迷い込んだのかしら…?』
《森の大陸》に生息する下級魔物が出港の際に紛れ込んでしまったようです。丸くてモフモフした体毛に覆われた姿にサニアちゃんは思わず『かわい~!』と瞳をキラキラさせ、その魔物に近づいてぎゅっと抱きしめました。
『わぁい!フワフワ~!
ソフトクリームみたいな匂いするよ!』
サニアちゃんに抱っこされて魔物も気持ちよさそうです
そんな時、魔物の体にくっついていた「何か」がヒラリと床に落ちたのをアピスちゃんは見つけました
『これは何かしら?黒い葉っぱのようだけれど…』
アピスちゃんはその「黒い物体」をもっとよく観察しようと膝をついて手を伸ばしますが、
その瞬間、風に吹かれて遠くへ飛ばされてしまいました
『あのさ!サニア、このコのおせわしたい!』
『もふもふんっ!』
サニアちゃんはバニリンとじゃれ合いながら旅につれていきたいと言いだしますが、アピスちゃんは『ダメよ』ときっぱり答えます。『なんで!?』とふくれっ面する彼女にアピスちゃんはその理由を優しく教えてあげました
『バニリンはあったかい森で生きる魔物なの。
私たちが行こうとしているのは、とっても寒い場所…このコはそこでは生きていけないわ。』
彼女が言った事をきちんと理解したらしく、サニアちゃんは『…』と寂しそうな顔をしました
『いっしょにいけないんだってさ。ざんねんだね…』
『もふぅん…』
サニアちゃんは本心ではつれていきたいと思いつつ、バニリンの体の健康を考えてお別れを決心するのでした。アピスちゃんはそんな彼女を『偉いわ』と慰めてあげ、一緒にバニリンを魔物センターへ届ける事にしました。
その頃…二人を探しにいったミヤビちゃんは迷子になり
ふらふらと船内をさ迷った末、エレベーターで移動した先のフロアで”恐ろしい光景”に出くわしました
『たいへん!ヒトが倒れてる!!』
そこには毒々しい煙をあげ、肌が紫色に染まり、見るも無残な屍のようになった若い女性が転がっていたのです。ミヤビちゃんは回復魔法でその女性を助けようとしますが、どういう訳か全く効き目がありません…
『バカめ!ゾンビに回復魔法なんざ効くかよ!
このポンコツ妖精が!!』
ミヤビちゃんは聞き覚えのある声がして振り向きました
現れたのは、かつて森でアピスを襲っていたあの魔法使いの男「ペドロゥ」でした
『あなたはあの時の…!
このヒトにいったい何したの!?ゾンビって…』
ミヤビちゃんの問いにペドロゥは『ごちゃごちゃうるせーよメスガキ!』と逆ギレします
『コンチキショー!このクソアマのおかげで危うくオレ様の完ペキな密輸計画がばれる所だったぜ…!おまけに妖精族のメスガキまでしゃしゃり出てきやがってよ。見られた以上は口を封じるしかねェよなァ!?』
ペドロゥは明らかに彼女を捕まえる気マンマンでした
身の危険を感じたミヤビちゃんは怖くなって逃げ、助けを求めて近くにあった浴場へと駆け込みました。
『いやあぁ!何でだれもいないの~!?』
運悪く浴場には誰もおらず、ミヤビちゃんは泣きながら逃げるしかありません
湯気で視界が悪い上床にお湯がたまっていて滑りやすく、ペドロゥがズッコケている隙にミヤビちゃんは水の中をばしゃばしゃ走って一生懸命逃げようとしますが、とうとう壁際まで追い込まれてしまいました。
『やっ…!こっちこないで!!』
追いつめられ、怯えながら後ずさりするミヤビちゃん…
ペドロゥは彼女にもう逃げ場が無いと分かると、余裕の表情を浮かべて近づいてきました
『クソォ~…オヤジに買ってもらった新品のスーツがずぶ濡れだぜ!このままおめぇをゾンビにしてやりてぇが、生憎ゾンビハーブはガキには効き目が無いからな。代わりにこうしてやる!!』
ペドロゥは嫌がるミヤビちゃんを縄で縛り、体の自由を奪った彼女をサウナに閉じ込めました
『取引が終わるまでそこで大人しくしろや!』
『んーっ!んーっ!!』
密輸計画、そしてゾンビハーブ…
ミヤビちゃんは不吉な予感がし、この事を早くみんなに伝えなければと必死に声を出して助けを呼ぼうとしていました…。

コメントを残す