
ホテルで朝を迎えたサニアたちはいよいよ《氷の大陸》へ出発する事になり、船に乗る前にみんなで1Fのレストランに集まって朝ご飯のサンドイッチを食べながらジョバンニ君の話を聞いていました
『《氷の大陸》はイイところだよ♪
遺跡がたくさんあってさー、どこも歴史と景観があって建物は綺麗だしお菓子もウマいし♪
ボクが一緒に行って案内してあげられないのが残念だ』
ジョバンニ君が一緒に来てくれないと知ってサニアちゃんもミヤビちゃんもガーン!とショックを受けました
『ボクにはこの《森の大陸》でやるべき事があるんだ
キミたちがやろうとしてる事と同じぐらい、とっても大事なコトがさ。なーに、出会いがあれば別れもあるのが旅ってやつだよ♪』
「出会いと別れ」…旅とはそう言うもんだとジョバンニ君は彼女たちに教えてあげました。サニアちゃんはそれでもお別れが寂しくてヤダヤダ!と駄々をこねるのでミヤビちゃんは『ワガママ言ったらダメ!ジョバンニさんにも大事なおしごとがあるんだから』と口を酸っぱくしながら彼女を諭しました
『ところでさ、彼はまだ寝ているのかしら?
そろそろ船が出る時間なのに…』
アピスちゃんの一言で、みんなは心配そうに上を見ました
ライは何があったのか夜遅くに汚水まみれのフラフラの恰好で戻ってきて、それからは酔っぱらいのように部屋で寝っぱなしでした。サニアちゃんは『サニア、みてくるー!』と言い、ミヤビちゃんと一緒に部屋に様子を見にいきました。
部屋ではライがサニアちゃんに足の裏を舐めさせられる夢のせいで悶え苦しんでおりました
サニアちゃんはライが悪夢にうなされているのをみて、
『もう!いつまでねてるのーっ!』と彼の顔にキックをぶちかまして起こしてあげました
『クソッタレ…悪い夢をみたぜ
どうやら俺様は、相当酔っぱらってたみてぇだな』
ライは朦朧と起き上がり、昨夜の事をぼやきました。彼は酒を飲み過ぎたせいで誤ってドブに落ち、酷い泥酔状態にあったそうです。彼の酒癖の悪さにサニアちゃんもミヤビちゃんも呆れ顔しています
『(く、言えるかよ…ナイスガイの俺様が
立ちションしてたら突然背後から得体の知れないクソガキに襲われて海に蹴落とされたとかダサすぎるぜ!)』
そんな時、サニアちゃんが彼の手をぎゅっと掴んで言いました
『ねー。もうフネにのるじかんだってさ!いこっ♪』
『おう!…いや、オイオイ!せめて歯ぐらい磨かせろ!』
いつもの調子でサニアちゃんの頭をグリグリした後、ライは爆速で歯磨きし、全員分の荷物が入ったバックパックをよっこらと豪快に持ち上げました。その中には昨日デパートで買い足したアピスちゃんの分もありました
『かはーっ!待たせたなチビども
このライロック・ザ・ディボルバー様と共に新大陸へ出発だぜ!』
ライも無事合流し、一行はホテルを後にして船が停泊している「スピカ港」へ向かいました。
『やっほー!サニアがいちばんのり♪』
真っ先に港に着いたサニアちゃんは停泊中の豪華客船を間近で見て、その大きさに驚いてキャッキャとはしゃいでいます。小さな彼女は早く船に乗りたくて『はやくはやくぅ~!』と手を振ってみんなをせかしました
『向こうに着いたらさ、グリモワールって人を探してみな
ボクと同じ魔法使いの里出身の魔法薬学士で、きっとみんなの力になってくれるからさ♪』
旅立っていく四人にジョバンニ君は最後にアドバイスをします。彼とはここでバイバイなんだと思うと、サニアちゃんはぐっと寂しさが込み上げてきました。『あのさっ…!また会えるんだよね?』と寂しそうな顔で聞いてくる彼女にジョバンニ君は『そんな顔するなよ~♪』と言い、彼女のほっぺたをくしゃくしゃに撫でて元気づけてあげました
『次に会った時はたーっぷりいじめ倒してやるから
覚悟しときな、こいつ~♪』
ジョバンニ君と笑顔のお別れをし、四人はそれぞれ乗組員に「船のチケット」を見せて乗船しました。
『みてみて!すっごい海!』
船の甲板にやってきた四人は見渡す限りの海を一緒に眺めました
ボーッと汽笛の音とともに船はスピカ港を出航し、色々あった《森の大陸》ともしばらくお別れです
『あたしね…海の外に行くのってこれが初めてなの
この海の向こうにはきっと見た事無いモノがたくさんあるんだろうな…どんなヒト達が住んでるんだろう?』
遠くを見つめるミヤビちゃんは期待感だけでなく不安や寂しさも入り混じっているようでした。その気持ちを感じとったサニアちゃんは彼女を安心させようとその手をぎゅっと掴んで『サニアもいっしょだよ』と言いました
『サニアもさっ!おうちを出た時ひとりぼっちでさびしかったよ。でもね…ミヤビにもライにもアピスにもジョバンニにもミツキにも会えたし旅に出てよかったなって思ってるの。だからこんどもきっとだいじょぶっ♪』
ミヤビちゃんはハッと気付きました
小さなこの子も、今の自分と同じような不安や寂しい思いをたくさん乗り越えてきたのです。仲間の存在をミヤビちゃんは強く感じ、みんなと一緒ならどんな事があっても怖くない…そんな気持ちになって不安や恐れはどこかへ消えました
『そういうこった、オメェが道に迷いそうになったら俺様たちが何とかしてやっから安心しろ!
それが仲間ってもんだよ!ぐふははは!』
『ねえ!船の中を探検しにいかない?』とミヤビちゃんがみんなを誘うと、
サニアちゃんが『いくいく♪』と元気に手を上げました
『私はこのまましばらく風に当たっていたいかな…』
『だったら俺様は筋トレしてくるぜ。ここには最新鋭のスポーツジムがあるらしいからな!
後で部屋で合流だ!迷子になるんじゃねーぞガキども!』
四人はそれぞれ自由行動となり、サニアちゃんはミヤビちゃんと一緒に船内を探検しに行きました。
『わぁ~!お城の中みたい!』
船の中はまるで宮殿のように華やかなつくりで、サニアちゃんとミヤビちゃんは広い船内をワクワクしながら走り回って探検していました。その途中、どこかから甘い匂いがして二人はぴたっと立ち止まります
『ねー。なんかケーキの匂いするよ』
『本当だ…あっ!みて、ダイニングがあるんだって!』
ミヤビちゃんはパンフレットをぱらぱらめくり、美味しいスイーツが食べられるダイニングフロアがすぐ近くにあるのを知りました。お菓子がいくらでも食べられるときいてサニアちゃんはヨダレを垂らしています
『じゃあさ、いってみよっか?』
『わーい!』
二人はさっそくダイニングに行き、苺をふんだんに使った豪華なケーキを仲良くいただきました。
『おいしー!サニア、甘いのだぁ~いすきっ♪』
『こんな大きなイチゴ見たことない!』
口いっぱいに頬張ったケーキが美味しくて二人は思わずニッコリします。特に苺が大好きなミヤビちゃんにはたまらないケーキだったようで、とても幸せそうな顔で『もう最高~!』とほっぺたが落ちそうなぐらいハマっています
『《氷の大陸》のルイゼンっていう港町に住む有名なコンディトアが考えたケーキよ。ほら、たっぷり並んだ苺がまるで王冠のように見えるから向こうの言葉でクローネ・ディ・エァトベーレン(苺の王冠)
って呼ばれてるんですって。』
ミヤビちゃんが体をくねらせて喜んでいるとアピスちゃんが歩いてきてケーキの事を教えてくれました。手には大きなシュークリームを持っていて、彼女もスイーツを食べにきたようです
『ねー!アピスもいっしょに食べよ!』
『いいわよ。あ…私は猫舌だからアイスコーヒーで♪』
アピスちゃんも加わり、三人は女の子だけの優雅なお茶会を楽しんだのでした。

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