サニアと新たな仲間「アピス」


うみこうを目指めざして

魔法使いの少女アピスを仲間に加えたサニアたちは次の目的地を目指して、ここスピカシティにやってきました

『みてみてっ!でっかいおうちがいっぱい♪
おっきなフネもあるー!!』

見渡す限りの海とビルが立ち並ぶ都会の風景にサニアちゃんは好奇心が抑えられず、手すりに乗っかって遠くを眺めるのに夢中です。ミヤビちゃんは『もう~!落っこちちゃうよ』と注意するとサニアちゃんは嬉しそうに笑い
『サニアは飛べるからへーきだしっ♪』と言いました

『大丈夫よ。こういう高所がたくさんある都市には《風の魔法》を応用した落下防止のシステムがあって、落ちてもバンジージャンプみたいにすぐさま元いた場所に戻ってこれるようになっているわ

落下防止機能の事をミヤビちゃんは知らなかったのか、彼女の説明にぽかーんとなります

バンジージャンプだと聞いてサニアちゃんは『面白そう!やってみたい♪』と言いだしますが
『やめた方がいいわ』と止められました

『自分でわざと落ちたんだと判明したら、後で罰金として20000ソルを支払う事になるみたいよ。
子供の場合…保護者が払う決まりなんだってさ』

保護者…
女の子たちはいっせいにライの方を見ます

『うっ、何だよ!俺様は払わねぇぞ…ていうかオメェら、はしゃぐのはいいが目的を忘れんなよ!
まずは《氷の大陸》に行く船を見つけねぇとな!』

やや話を遡り、一行がスピカシティを訪れる少し前……

『やっほー!敵やっつけた~!』

魔導要塞を破壊したサニアちゃんは妖精の女王と一緒にみんなの所へ帰ってきました

『サニア!よかった…』
『あんなでけぇ要塞をぶっ壊しちまうとはな、大したチビだぜ!』

彼女の元気な姿をみてみんなはほっとします
特にミヤビちゃんはサニアちゃんの事が心配でたまらなかったせいか、涙を浮かべながら彼女の体をぎゅっと抱きしめてあげました

『あのねあのねっ!ミツキがね!
結界でバクハツから護ってくれたんだよ!』

サニアが指さした空の先には、コアを失って大爆発を起こした魔導要塞が細かい粉塵となって降り注いでおりました。アピスは二人が爆風に巻き込まれそうになったのを知って『ごめんなさい…』と謝ります

『クリスタルを破壊したら要塞が爆発するなんて…私、本当に知らなかったの…
危ない目に遭わせてごめんなさい…』

サニアちゃんは「へーきだよ!」と言いました

『ミツキが護ってくれたからだいじょぶ!
わるいヤツもやっつけられたし、おもしろかった♪』

強い相手とバトルして勝ったせいかサニアちゃんはとっても上機嫌です
アピスちゃんは彼女が元気づけようとしてくれているのを感じ、小声で『ありがとう…』と言いました

『わたくしからも…サニアちゃん、ライさん、我が妹ミヤビ…そして我が身を顧みず危機を伝えにきてくれたアピスちゃん…皆さんのおかげで星母樹とクオンの人々は救われました。女王として民を代表してお礼を言わせて下さい』

「それからもう一人」と妖精の女王は続けました。

姉のソニアが農家の姉妹を護ったと聞かされ、サニアちゃんはビックリします

『わたくしも驚いています…
以前の彼女なら弱き民に救いの手を差しのべたりはしなかったでしょう。もしかすると彼女に何らかの心境の変化が起き、優しい心…すなわち良心が芽生えつつあるのかもしれません。今回の彼女の行いは尊く…感謝に値する事です。』

妖精の女王によるとソニアが農家の姉妹を助けた話は瞬く間にウワサとして都中に広まり、彼女をヒーロー扱いする声がちらほら出始めたそうです。サニアちゃんはそれを知って嬉しくなりました

『あの女がヒーローだぁ?バカバカしい!
俺様はあの乳デカ女に骨を折られた事があるんだぞ!超スーパー激痛だったぜクソがよ!』

空気の読めないライをスルーし、妖精の女王は「これからの事」について話をしました

『先ほどフリューゲルから全世界の主要都市に対して渡航禁止が宣言されました。地上の人々は誰も空を訪れてはならず、空の人々は誰も地上に降りてはならない…お互いに不干渉…つまりは、先帝シルフィナになる前の
《鎖国政策》を再び始める気なのでしょう。』

新たな女帝となったクラウディアは鎖国体制を敷きながら、彼女たちがオーヴと呼んでいる《生命の実》ルミエ・ラシーヌの能力で魔導兵器を量産し、地上侵略の準備を整える気なのだろうと妖精の女王は推察しました

『こいつは最悪だぜ…
ようするに、そんな独裁者みてぇな奴からオーヴとかいうのを何とかして取り返さなきゃならねぇんだろ?でなけりゃ星母樹が枯れて俺様たちの世界がヤベェって訳だ。悪い冗談のような話だぜ。』

ライの発言にみんなはシーン…となります

『確かに…現在の状況はひどく複雑です。星母樹を救うにはフリューゲルにある《生命の実》ルミエ・ラシーヌを取り戻す以外にありません。ですが…地上人への憎しみに囚われた魔法使い達はすでに説得が通じる相手では無いでしょう
わたくしたちが選ぶべき道はたった一つ……』

『これから各大陸に分身の妖精たちを向かわせます
星母樹の現状と、わたくしたちが目にした魔導要塞の脅威をそれぞれの大陸を治める長たちに伝え、その上で魔法使い達と和平条約を結ぶための国際会議を早急に開くよう呼びかけなくてはなりません。』

話が難しかったのかサニアちゃんは『うぅ~…なにいってるのかわかんない~』と目をぐるぐる回しています
アピスちゃんはそれをみてフフッと笑いました

『簡単に言うとね…世界中のエラい人たちを集めて、魔法使いたちと仲直りする方法を考えようって事。
私も…賛成。クラウディアと争わなくていいなら……』

「クラウディアと仲直りしたい」…アピスの言葉にはそんな切なる思いが込められていました

『私はこれから《氷の大陸》を目指すわ。あそこには空から引っ越してきた魔法使い達がたくさん住んでいる隠れ里があるらしいの。もし彼らを説得できれば、和平の助けになると思う。』

アピスは『あなた達に出逢えてすごく嬉しい…だから、私のせいでみんなが傷付くのはイヤなの』と何だか意味深な事を言いました。その表情は寂しく、儚げで、今にも消えてしまいそうです

サニアちゃんは何かを察したのか、彼女の袖をぎゅっと掴みました。

ほっといたらアピスとここでお別れになってしまう…
サニアちゃんはそんな気がして、彼女の袖をぐいぐい引っ張って離そうとしません

『…だめ。私は狙われているの
私と一緒にいたら、魔法使い達がやってきてあなた達をまた危ないコトに巻き込んじゃうわ』

「自分がいるとみんなに迷惑がかかる…」アピスはそんな風に考え、たった一人で旅立つつもりでした

『かはーっ!何を水くせぇコト言ってやがる、俺様たちは共に戦った戦友…仲間だろ!つべこべ言わずに頼れよ!
パーティを組めば魔法使いなんざ屁でも無いぜ!!』

『でも…』と煮え切らない態度のアピスにミヤビちゃんは優しい口調で言いました

『ねぇ、みんな迷惑だなんてちっとも思ってないよ?
キミのコトほっとけないってさ。もちろんあたしもだよ!アピスはどう?あたしたちと一緒じゃ…嫌?』

アピスちゃんはやっと本心を語りはじめました

『ありがとう…本当は一人で旅をするのはとても心細かったの。ほ、ほら…オンナのコの一人旅って色々不安だし……だからみんなに会えてほっとしてるの。あなた達さえ良ければこれからも一緒に……』

彼女が言い終わる前にサニアちゃんは『だってさ♪決まり~っ!!やったぁ!みんなで旅したらぜったい楽しいよ!!』と大はしゃぎしだして、アピスちゃんはきょとんとなりました

『(この子…本当に旅が大好きなんだわ…
地上には悪いヒトばかりじゃなくて、こういうヒトたちもいるってクラウディアにも教えてあげたいな…)』

サニアちゃんがあまりにも無邪気で楽しそうにしているのをみて、アピスちゃんも明るい気持ちになりました

こうして「アピス」という新しい仲間が加わり、
一行は魔法使いの隠れ里があるという《氷の大陸》を目指す事になったのでした。

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