リクヤとお金持ちの同級生ヒロム


成金少年なりきんしょうねんのホンネ

スピカシティに住んでる小学一年生のリクヤはいつも遊び盛りの元気な男の子。
彼が通う「スピカ小学校」では今日新しく配信する予定だった新作ゲームの話題でごった返すはずでした……

『ちえっ…今日帰ったら遊ぶはずだったのにさ!つまんないの!!』
『まじついてないよな~。くそがよ~』

楽しみにしていた新作ゲームが災害のせいでまさかの配信延期になり、ぶーたれながら登校するリクヤとコテツ。
ゲームに興味がないロミちゃんはそんなご機嫌ナナメな二人を何とか元気づけようとしています

『でもさ 中止にならなかっただけマシじゃない?
ソメイに住んでる子なんて、靴がビショビショになって大変だし…ちょっとぐらい辛抱しよ?』
『あ~あっ!つまんないつまんないつまんなぁ~~い!!』

リクヤ君がダダをこねてると、クラス一の長身美形男子雉羽宏武きじばヒロム」がやってきました



『いいかいチミたち~?このスーパーお金持ちのボクが
ちょっとゲーム会社の社長に頼んだら、そんなゲームぐらい簡単に手に入るんだゾ!』

いきなり現れて自慢話を始めた宏武に三人はポカーンとします

スピカシティを管理している「スピカ財団」の幹部を父に持つ宏武は、その七光りの力でみんなが欲しがっている新作ゲームをすでに手に入れたと豪語し、自分の家にくれば遊ばせてやるぞとリクヤ君たちに得意げに言いました

『けっ!くだらねーボンボンヤローの力なんざ借りる気ねーんだわ!!
おいリクヤ、こんなくそあほ放っといて教室いこーぜ!!』

『え?だ、だけどさっ…!』

リクヤ君は宏武の態度に何か引っかかるものを感じたようですが、
彼のあまりにも偉そうな言動にカチンときたコテツに手を引っ張られてムリヤリ教室へ連れていかれてしまいました

『やっぱりめっちゃ気になる!これからヒロムん家いこーっと!』
『りっくんが行くならわたしもいっしょに行こっかな』

宏武の事がどうしても気になったリクヤ君は、放課後にロミちゃんをつれて彼の自宅へ行ってみる事にしました

『二人ともよく来たね!どうだ、ボクの屋敷はでかいだろ~!
何たってスーパーお金持ちだからね!あっはっは』

宏武が七光りを纏わせてまたしょーもない自慢話をし始めます
長くなりそうなのでリクヤ君とロミちゃんは『オッジャマしまーす』『お邪魔します』と言ってサッサと家の中に入っていきました

二人がいない事に気付いた宏武は『オイ、このボクをスルーするんじゃない!』と慌てて追いかけます



『わーい♪この床、ひんやりしてて足がつめたくて気持ちいいや!』
『ステキなお屋敷よねー。こんな家に住んでたら、お姫さまみたいな気分になりそう♪』

靴を脱いで家の中に上がり込んだリクヤ君とロミちゃんは、廊下を歩きながら楽しそうにお喋りしていると、
宏武が何やらスマホの画面を見ながらバツが悪そうに言いました

『あー…せっかく来てくれたところ悪いんだが新作ゲームの件…
今ゲーム会社から返事がきたんだが、どうやら入手するのに失敗したらしいんだ。期待させといてすまない』

リクヤ君とロミちゃんはお互いに顔を見合わせると、二人でいたずらっぽくクスクスッと笑いました

『…だってさ!どうしよっか?』
『そうねぇ、ゲームが遊べないなんて本当がーっかり!帰っちゃおうかしら?』

二人が帰るそぶりを見せると宏武は慌てて「本当の事」を打ち明けました
なんと新作ゲームを入手した話は真っ赤なウソで、本当はただリクヤ君たちに自分の家にきてもらうのが目的だったようです。本当の事を聞いたリクヤ君とロミちゃんは怒るどころか満面の笑顔で『知ってた!』と答えました

そう、この子たちには最初から全部お見通しだったのです。

『まいったな…キミたちには敵わないや』

二人の鋭さに宏武はすっかり降参したようです。
それからリクヤ君とロミちゃんは、家にきてもらったお礼にパティシエ特製のケーキをご馳走してもらったり、
部屋でゲームしたりしてワイワイ楽しいひとときを過ごしていました

たくさん遊んで『じゃあ、またね♪』と帰っていく二人を見送る時、宏武はスッキリしたのか爽やかな表情だったそうです

–小学一年生のリクヤくん(6)のコメント–

廊下でコテツやロミちゃんと話してたらヒロムがきてさ、
家にきたら『どーベルマン教授』の新作を遊ばせてあげるって言ってきたんだ!

さいしょからウソついてるって知ってたけどさ…
何だかめっちゃ寂しそうだったからさ、帰りにヒロムん家に遊びにいっちゃった!
ロミちゃんもやっぱりぼくとおんなじコト考えてたみたい!
ヒロムってパパもママもおシゴトしてて家に帰れないコトが多くて
家でいつも一人で過ごしてんだって。それで毎日つまんなくて、ぼくたちと遊びたかったんだってさ。
お金持ちの子供にも、いろいろ悩みがあるんだねー
ぼくはいっつもお姉ちゃんがいるから、幸せだなって思っちゃった
そうだ!こんどはコテツもつれて遊びにいこっと!
ヒロムん家のケーキめっちゃ美味しいし、また食べさせてもらうんだ♪

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